2017.05.11










機を捉え
萌黄盛りて
息を呑み






東北本線 館腰-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の日も亦、庵近在の線路を徘徊致し候。
背後の踏切の鳴動に合わせ、
何時もの如く、気も漫ろに鉄瓶を構えて御座います。

徒然に鏡筒を伸び縮みさせた折。
画角の半分以上を占める菜花の萌黄色の鮮やかさに
些かの驚きを隠せずに居りますと、

逆に、列車の顔は、其の燃え盛る黄色に
すっかりと隠れてしまったので御座いました。

新型の近郊電車の勢力に圧され、
余命幾何と噂されて久しい719系電車では御座いますが、
此の芽吹きに劣らぬ力強き走りを、
其の電動機の唸りを以て、
花弁の翳からしっかりと伝えて来るので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.10










葉の翳の
揺れる水面に
止まる刻






常磐線 逢隈-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

雲が一面に広がり、
時折雨さえ降る黄金週間の終盤に御座います。

強弱を繰り返しつゝ吹く風に、
阿武隈川の水面の揺らぎは留まる処を知らず、
映し出す雲の色に皺を刻むので御座います。

畔に立つ一本の木に生い茂る若葉の瑞々しさは
此の曇り空で却って瑞々しく見えるので御座いますが、

川面に映し出された若葉の色は、
絶え間なく打つ漣で、辛うじて緑と判る位となり、
其れが亦、時間の移ろいを忘れさせるので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.09










陽に向かう
ぺんぺん草の
息吹見ゆ






石巻線 前谷地-佳景山
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

黄金週間後半は、庵人に御相伴賜り、
些かの贅沢をさせて頂いて参りました。

本日の一献は、其の道中にて
点てさせて頂いたものに御座います。

と或る農道の踏切にて、
丁度警報機の鳴動に差し掛かりましたので、
やおら鉄瓶を取り出し、角籠を飛び出します。

ふと足許を見遣りますと、
迸る生命力を発揮してゐる蒲公英に混じり、
懸命に茎を伸ばすぺんぺん草が。

列車は最早至近距離。
庵人の怪訝な表情を他所に、
防護柵の根元に這いつくばりまして。

間も無く南中を迎うる太陽に向かって
茎を伸ばすぺんぺん草が見せた、
儚き表情とは裏腹な、力強き一面を垣間見て頂けましたら
望外の幸甚に存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.08










華色の帯を巻き
夜の街へ






仙山線 東照宮-仙台
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

黄金週間の中間地点、
平日と休日とが交錯する、
都会の谷間に御座います。

翌日から、再び長い休みに入る事への
高揚感、或いは安堵感に満ち溢れた
列車内で在ったかと存じます。

何れにせよ、女性の車掌氏は、
黙々と職務に徹する処に御座いましょう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.07










淡き陽の透かす葉の緑の力強さ






石巻線 前谷地-涌谷
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

冒頭で捻った一句の如く、
そうそう上手くは行かないもので御座います。

拘り始めますと、笹の葉の重なり具合に至るまで
気になってしまうもので御座いまして。

空模様に目を転じますと、
陽の光に些か力強さが加わって居るかと存じますが、

初夏、では決して無く、では、春かと申しますと、
其れも亦違うかと存じます。
然らば、春の終わり、とでも申しましょうか。

斯様に中途半端な印象がある季節には御座いますが、
一献に写り込んだ光景は然に非ず、
存外に落ち着いた佇まいを見せるので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.06










或る小川の夕暮れ





東北本線 館腰-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の黄金週間は、
稲作をされる方にとりましては、
当に掻き入れ時かと存じます。

皆様の尊い御苦労がありましてこそ、
本日も白い御飯を頂く事が出来まして御座います。

改めて、心より御礼を申し上げます。

さて本日は、其の水田に水を引く用水路の脇で
夕暮れを迎えた際の光景に御座います。

本格的な水入りを前に、
泥除けなど入念な清掃が為されたと
聞いて御座いますが、

斯様に人の手が入って尚、
自然と一体化してゐる事に些かの安堵感を覚うるのは、
庵主が生粋の東北人で在るが故の事に御座いましょう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.05










菜花伸びる





東北本線 館腰-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今時分は、
菜花の黄色が盛りを見せる頃合かと存じます。

庵近在で、此の、折角旬を迎えた黄色を、
どうにか一献に立てられればと思い、
鮫踏切の脇に参じて御座います。

最初は、真っ直ぐに天を目指して伸びる
菜花の生命力に感心して御座いましたが、

此処で四半刻も過ごす内、時折画角を占領する
此の曲がりくねった菜花の存在も
気に為り始めたので御座います。

夕暮れの光線に、花弁だけで無く、
茎の印影まで求むる事が出来ようとは。

庵事の合間に新たな発見をした、
黄金週間の夕暮れに御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.04










宵の口





東北本線 名取
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

宵の口を迎え、
遍く空から蒼が舞い降りて参ります。

庵近在の駅も漏るゝ無く、
夜の帳を迎え入れ、蒼く染まるので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.01










やうやうと
宇宙の色に
染まり来て






東北本線 館腰-岩沼
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

あっと云う間に五月を迎えて御座います。
庵近在は、暖かいのか寒いのか、
能く判らぬ日々に御座います。

昨日は、庵人の安産祈願と、
庵主の前厄払いと云う事で、
油揚げで有名な定義山(じょうぎさん)に
詣で参じました。

仙山線熊ヶ根駅から三里程、
奥羽の山懐深くに突如として現るゝ
桃源郷の如き門前町と巨大な寺院は、
広く東日本から様々な願事が集う名刹に御座います。

さて本日の一献は、
定義詣での数日前の夕暮れに御座います。

只でさえ翳る一方の里に鉄瓶を向け、
思い切り露光を絞った結果、

高く澄んだ空は恰も宇宙の色を其の儘映し出して居るが如く、
蒼とも黒とも付かぬ色合いを示したので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.04.29










襟整えて望みしは





東北本線 館腰-岩沼
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

愛島の丘の稜線に其の身を沈むる直前、
刹那の閃光を放つ陽光が、
鋭い角度で車内に射し込んで参ります。

相応に揺れる列車内では、其の先頭に立ち、
微動だにせず前方注視を続ける
乗務員の方の姿が御座いました。

丁度其の時、
列車まで射貫かんばかりの斜陽を照り返し、真一文字の襟が、
車内に鮮明に浮かび上がったので御座います。

直線的な容姿を持った車両と、
恰も気持ち迄一つに為るが如く。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。