2016.03.23










桟橋も朧夜汽車に相対す





函館本線 函館
2016.3


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

日本で唯一の客車急行と相成りました「はまなす」。
其の雄姿を記憶に留むるべく、函館山の頂を目指します。

息を荒げ、滴る汗も其の儘に、一年半振りに見渡す宝石箱。

市井の皆様方が大凡寝静まつた夜半にも拘らず、
其の輝きは衰うる事無く、砂洲の形を明瞭に示して御座いました。

嘗ての連絡船の桟橋は、而して砂洲の片隅で、
往時の栄華を朧気に留めて居りました。

軈て、汽笛一声、
眠れる街を起こさぬよう、甚(いた)く静かな足取りで、
桟橋に向かって彼の列車が滑り込んで参ります。

物言わぬ摩周丸は、滑り込んで来た夜汽車を、
其の深い懐で受け止めんとするが如く、
退役して尚、静かに桟橋に佇むので御座います。

其処に庵主は、函館山の頂で、
体の芯まで冷やさんとする強風に穿たれつゝ、
ある種の錯覚を覚えたので御座います。

函館駅の線路は、未だ摩周丸の待つ桟橋まで
繋がつて居るのではないか、と。

さて此度は、此の頂より、
此の日を以て北日本から消滅する夜汽車を追い、
道南へと馳せ参じて御座います。

丸二日間お世話になりましたうっかり鉄殿、
そして、現地でお世話になりました皆様方に、
草庵からで甚だ失礼かとは存じますが、
心より御礼申し上げます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

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