2015.08.29










幾度の夜と朝の狭間とて
刹那さへ当(まさ)に在り難き哉






東北本線 名取-館腰
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

いくたびの よるとあしたのはざまとて
せつなさへまさに ありがたきかな

明け七つ(午前四時)は、能く
昔日の旅人の出立の刻とされて御座います。

日の出直後とも云われて御座いまして、
其れ為りの距離を、
日没までに徒歩で移動しなければならなかつた時代の
慣習に御座います。

江戸日本橋を、上方へ向けて出立した折に、
高輪の辺りに差し掛かった頃合いで、
皆一様に提灯を消したとも云われて御座います。

時は流れて現の世。
未だ寝静まる街を、強烈な燈火とともに、
夜行列車が駆け抜けて御座います。

真夜中とも明け方とも付かぬ陰陽の狭間で、
提灯を消しながら、或いは、寝覚めの車窓から、
薄明の空を見上げる心持ちは
如何様なものに御座いましょう。

悠久の時の流れの中で、
幾星霜と繰り返されし其の刻こそ、
是当に刹那の邂逅かと存じます。

そして其の刹那とは、如何なる邂逅と云へども、
二度と叶わぬものと相成りまして御座います。

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