2017.07.31











海霧の
迫り来て尚
駆る大路







常磐線 久ノ浜-末続
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今年、東北地方の梅雨は明けぬであろうとの噂も
流布してゐるそうに御座います。

此の日の朝、
当に其の事を象徴するかの如き濃い海霧が、
久ノ浜の街の上空より垂れ込めて御座います。

斯様な空の下、
嘗ての特急街道である当路線の頂点に君臨し、
一世を風靡した“タキシードボディ”が、
此度今一度、南双の鉄路を駆け抜けて御座います。

左様な訳で、
本日より幾日かは、彼の震災から六年を経て、
生まれ故郷にて静かに余生を送る名車の姿を中心に、
御相伴を賜りとう存じます。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

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2017.07.27











夏の陽の
隠るゝ際の
涼一分







東北本線 館腰-岩沼
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

庵から角籠で、煙草一本分程の距離に在る、
県道の斜張橋。

其の北側は宅地、南側は市街化調整区域にて、
水田が広がって御座います。

畦の合間を縫って流るゝ水路には、
夜の帳に合わせるかの如く
蜘蛛も帳を張り始めて御座います。

穂を出し始めた稲が、
一陣の涼風を受けてそよぐのとほゞ同時に、
今でこそすっかり古参に相成りました電車が
夜の街へと駆けて往くので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.26











びつしりと
行列為したる
チツプ籠







日本製紙岩沼専用線 岩沼授受所-岩沼工場
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

庵至近の紙工場。
一日当り1,475屯の抄紙を生み出す、
大手製紙会社の一大拠点に御座います。

此の生産能力を支える重要な輸送資産として、
此方の専用線は、今日も此の街に確かに存在し、
一日二回、列車の往来が御座います。

住宅街の片隅を静々と進んだ紙籠の大名行列は、
此の先の些か劇的な光景を以て、
長い旅路の終着と相成るので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.25











人在りて
其の目と手を掛け
巨躯を操(く)る







東北本線 岩沼
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

人馬一体とは能く云わるゝかと存じますが、
鉄道車両に於いても亦、日常的に見らるゝ光景かと存じます。

盛夏を思わせる強烈な日差しが、
堅牢な保護帽すら穿たんばかりに降り注ぐ操車場。

掛員殿は、巨躯の片隅に間借りしてゐる様に見えて、実の処、
完全なる主導権を握ってゐるので御座います。

人在りて、鉄路活き。

此の途方も無く普遍的な主題を、今後とも
出来るだけ多くの視点で見つめて参りたいと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.23


















信越本線 横川-軽井沢
1997.8


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

梅雨が明けるとも明けぬとも付かぬ空模様が続く、
庵近在に御座います。
御来庵の皆様に於かれましては、
お変わり御座いませんでしょうか。

此処数日、熟成を通り越した茶葉に御相伴賜り、
恐縮至極に存じます。

斯様な中でも、本日の一献は、
在りし日の信越線の中でも
大変に有名な地点での野点に御座います。

鬱蒼と生い茂る樹々の狭間に
突如として姿を現す巨大な人工物。
自然環境に対する、人間の「移動」と云う欲求は、
斯様な迄に劇的な光景を生み出すので御座いましょうか。

何れにせよ、在り来たりな一献に御座いますが、
今と成りましては、良き記録かと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.22











出入り台
臥して静かな
夜汽車哉







海峡線 津軽今別-竜飛海底
2000.3


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

夜汽車の出入り台は、
鉄輪が規則的に轍を刻む音と、
貫通路の踏み台が軋む音にのみ支配さるゝ、
或る意味では「異空間」かと存じます。

此方の二輪車乗りの御仁は、
此の異空間に静かに身を委ね、
何を想うので御座いましょうか。

視線を交わす事こそ無いものの、
海峡を渡る汽車が運ぶ人間模様は当に、
千差万別かと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.21











朝の陽を
正に浴びたる
草小路







日本製紙岩沼専用線 岩沼授受所-岩沼工場
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の日も亦、街の片隅で、
籠の行列の御成りに御座います。

機関車も、其の水先案内の御仁も、
正面に力強く朝日を浴び、
草生した小路を工場へと向かうので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.20











駅裏の駅






仙石線 (旧)仙台
1996.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

実家に残して来た私物の整理に勤しんでゐた折、
斯様な一献を発掘して御座います。

宮城野区の東九番町界隈が、
現在とは懸け離れた景観を保持してゐた頃、
此の近辺は“駅裏”と呼ばれて御座いました。

其の雑然とした街並みは、
再開発の波から完全に取り残され、
旧仙石線と共に、昭和其の物で在ったかと
存じます。

仙台駅の、巨大で洗練された構造物の裏側に、
突如現るゝノスタルジア。

其処へ向かう地下連絡通路は、
或る種の時空隧道だったので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.19











巨体こそ
人の手と眼で
導かれ







東北本線 岩沼
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

“金太郎”と名付けられた、巨大な体躯。
今や幾十人もの兄弟が存在し、
大所帯と相成って御座いますが、

其の一台たりとて、
人の目と手を借りずには、
細やかな身動きが取れないので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.18











梅雨空を
映し藍染
五間堀







日本製紙岩沼専用線 岩沼工場-岩沼授受所
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

閑静な住宅街の一角、
拙庵の一献に度々登場する
五間堀川を渡る下路式鋼桁橋が御座います。

家塵出しの為、集積所に向かうご婦人が、
「毎日此の時間に引込線がやって来る」との旨
ご教示頂いた所、

果たして其の通りの時間に
紙列車がやって来るでは御座いませんか。

此の日も亦、此の“引込線”が、
沿線に御住まいの皆様の日々の暮らしに
密接に関わってゐる事を識るので御座いました。

そして、川面に映ゆる深き藍色は、
未だ梅雨明けして居ない事を示して御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.14











紅牛疾駆






東北本線 乙供-千曳
1999.10頃


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

庵近在は、本格的に空梅雨の予想を
呈して参りました。

此処数年の天候不順に、
何らかの異変の兆候を垣間見るのは
大袈裟では無き事と存じます。

さて本日は、相当に昔の熟成茶葉にて一献。
恐縮では御座いますが、御相伴を頂戴して御座います。

此の一献を点てた当時、
東北も、すっかり秋の装いに御座いましたが、
強烈な日差しに、青森県内乍ら暑気を覚えた
記憶が御座います。

其れでも、昼下がりに早くも傾き始めた
陽光を目一杯に浴び、かつ自らも熱気を発しつゝ、
一路青森貨物集積所へ向けて疾駆する紅牛を見送る、

斯様な二十代前半だったので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.13











帳(とばり)掠めて






東北本線 館腰-名取
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

本日も亦、拙庵より徒歩圏内に在る場所での
一献に御座います。

此れだけ日常的に同じ場所で煎じて居りますと、
実に何気無い毎日乍らも、
如何にして非日常的な風景として描き出すか、
また、二つとして同じ一献が無きようにするか、
苦心するもので御座います。

遙か遠くへ角籠を走らせ、或いは、
草木も眠る時間帯に鉄瓶を構えれば、
非日常は記録出来る事も多かろうとは存じます。

是は是で愉しくも大切な事では御座いますが、
日々繰り返さるゝ日常に於ける
鉄道と人々の暮らしの交わりを写し留める事も亦、
大切にして参りとう存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.12











霹靂の
如き野花の
麓往く







常磐線 岩沼-逢隈
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

一点の曇り無き碧空に向かい
精一杯茎を伸ばす野花。

其の周りには、電車の他に
何も無い光景であるが故、
最早「聳え立つ」とも申し上げて
差し支えは無きものと存じます。

不銹鋼で出来た車体の隅に
強烈に照射した太陽光線に、
今時分が夏である事を、
漸く見出したので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.11











暮れ






常磐線 逢隈-岩沼
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

決まった時間に庵を出て
決まった時間に庵に戻る。

車中の皆様も、
斯様な日々をお送りで御座いましょうか。

車中の人では御座いませんが、
庵主も其の一人に御座います。

稜線に没する直前の陽光に癒さるゝ、
家路の時間。

日々、御苦労様で御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.10











Di questo pasto negozio è
molto gustosa e la reputazione.







東北本線 館腰-名取
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此のお店の食事は
大変美味しいと評判で御座います。

と云う、伊語だそうで御座います。

庵主も此方の御店で
幾度かお食事を頂いた事が御座いますが、

斯様な事とは甚だ無関係に、
今朝も通勤電車が颯爽と駆け抜ける
庵近在なので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.07











今日も亦
陽の伸びやかに
射し込みて







東北本線 岩沼-館腰
2017.7


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

九州北部では、歴史的な豪雨災害が
生じてゐるとの事。
草庵からで恐縮至極に存じますが、
此度、被災された皆様方に、
心よりお見舞いを申し上げます。

一方、庵近在はと申しますれば、
此方の一献の如く、
今日も朝から容赦無く夏の日差しが照り付け、
日當に居ると痛みを覚える程。

斯様な陽気の下、野良仕事へと向かう道すがら、
線路際に鉄瓶を構える御二方と遭遇。

僭越乍らお話を伺うと、お二人とも、
横浜からお越しの書生さんに御座いまして、
就職活動も一段落され、残りの書生生活を
目一杯に満喫して居らるゝとの由。

学を修め世に出ますと、斯様な時間は
中々取れなくなるのが常に御座います。
其の大切な時間の中に、宮城県を組み込んで頂いた事、
一人の県民として、大変光栄に存じます。

県民にとっては、
阿武隈急行が一日に往復直通してゐる事も、
719系電車が六両編成で走って来る事も、
街の片隅に小さな貨物線が在る事も、
日常の極く一部では御座いますが、

仮令、不銹鋼や鋁の合金で出来た車ばかりでも、
普段見掛る事の無い車と云うだけで、
新鮮な筈で御座います。

甚だ僭越乍ら、
どうか、社会の荒波に揉まるゝ事が有りましても、
斯様に瑞瑞しい感性を、何時迄も大切にして頂きとう
存じます。

草庵からで恐縮に御座いますが、
御二方、早朝から愉しい一時を
誠に有難う存じました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.06










梅雨空に
進む径とて
草生して






日本製紙岩沼専用線 岩沼授受所-岩沼工場
2017.6


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の処の湿気で、苔等と云う
生易しいものでは無く、
雑草に覆われた線路。

甚だ失礼な話では御座いますが、
こんな処、列車など通るのだろうかと
訝しがってゐた折、

力強い原動機の音、そして
其れにそぐわぬ速度の籠の列が。

比類無き生命力を誇る雑草も、
現役の鉄道車両の前には
形無しだった様に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.04










枝垂れる
葉の翳の色
寄する風






日本製紙岩沼専用線 岩沼工場-岩沼授受所
2017.6


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

ぽっかりと、針孔の如く空いた庵事の隙間。
寸暇を惜しみ、桑原の住宅街に
角籠を転がして御座います。

ねっとりと纏わり付く温風にそよぐ木々の葉も、
五間堀に涼を求むるが如く御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.03










緑を纏い、
森と生きる。






石巻線 石巻-曾波神
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

些か時間の経った茶葉にて恐縮に存じます。

漸く再開を見た音楽活動や
立て込んで来た庵事に追わるゝ日々に御座いまして、
此処二週間ほど、線路際から遠ざかって御座います。

さて、初夏の日差しを受けつゝ、二両の内燃動車が
満々と森を湛うる愛宕山の足元を
摺り抜けて参ります。

清潔感のある車体の地色と相俟って、
木々の生命力が溢るゝ様を垣間見た気が
するので御座います。

処で、私事で恐縮至極に存じますが、お陰様で、
拙庵も二世のお出ましを再来月に控えて御座います。

此の、豊かな緑の如く、躍動する生命力の端緒を
目の当たりにする事が出来れば、と
切に願ってゐる処に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.02









名も知らぬ
樹の河畔に
聳え立つ







常磐線 逢隈-岩沼
2017.6


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

何やら南国の雰囲気が漂う一本の樹が
灰色に埋め尽くされた畔(きし)に
立ってゐるので御座いますが、

其処に纏わり付く蔦の如き植生に、頂の葉以外は
其の身を覆い尽くされて御座いまして、
此の日の空模様の如く、正体不明と成って御座います。

川幅の広い阿武隈川に在って、
此の樹が持つ、或る種独特な存在感は、

此処が東北で在るからで御座いましょうか、
何故か其れ也に圧力を感じるので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.07.01










The Metallic Metal





東北本線 名取-館腰
2017.6


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

庵近在は、入りて後暫し在りて、
漸く梅雨本番の趣に御座います。

増して、此の時季の近在に有るまじき
蒸し暑さに御座いまして、
何かひんやりした質感の物に
触れて居たい気分に御座います。

と云う事で、此の列車のtextureと来たら
如何に御座いましょう、
見事な迄に統一感を持った
質感かと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。