2017.05.31










悠久の
流れ湛えて
碧深し






只見線 会津水沼-早戸
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

「碧」と書して、「あお」と呼ばせる程に、
山懐の緑も愈々深くなって参りました。

只見川は、相も変わらず豊かな水を湛え、
今一つな空模様乍らも、
其の源流たる木々の姿を
映し出して御座います。

川と森の硲に控えめに敷かれた細い鉄路を、
一本の列車が、若松の街へ向けて
ゆらりゆらりと歩を進めて参ります。

辺りに民家など見当たらず、
些か秘境めいた山深くの小駅乍ら、
今日は幾何かの利用客が有るように御座います。

其の客人の殆どが、笑顔を交わし合い、
弾む声が川沿いに谺してゐたのが
印象深く御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

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2017.05.30










其の身を深い緑に溶かして





只見線 郷戸-滝谷
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

朝の陽が僅かに其の強さを増し、
やゝもすれば逆光か、と思わせる雲巡り。

些細な事に一喜一憂するのが、
野点の醍醐味かと存じますが、
此の醍醐味を存分に堪能した、
一日の幕開けに御座いました。

此の日の川霧は些か薄く、
空との境目も明瞭では無い事から
川沿いでの野点は諦め、
山中へと紛れ込む事と致しました。

程無くして、腰に巻いた帯の色も鮮やかに、
併し、鬱蒼とした森に程好く溶け込ませ、
列車がゆったりと体躯を揺らしつゝ、
此方へと近付いて参ります。

下界とは明らかに異なる時間の流れを
其の身で表現するかの如く。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.29










薫風に
似たる揺らめき
息遣い






磐越西線 山都-喜多方
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

風が吹けば肌寒く、風が止むと蒸し暑く。
是を一日繰り返してゐた、此の日の西会津。

其の繰り返しも幾度目かを数えた時、
吹き渡る風の中に、僅かに熱気が
感ぜられて御座います。

漸く皐月らしき風が、と思うのも束の間、
油が焦げる薫りが些か混じってゐる事に
気が付き、

其の出所を見遣りますれば、
排気瓦斯で背景を震わせつゝ、
谷間を一跳びする気動車の姿が御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.28










一ノ戸の
谷間に淡く
添うる藤






磐越西線 山都-喜多方
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

何の情報も持たず、所要の合間を縫い、
一ノ戸川の河岸段丘の縁に降り立ちて御座います。

此の時期の此の界隈にしては、些か肌寒い風が
向こう岸から吹き付けて参ります。

飯豊の山々は、
其の姿を見せたり隠したり、勿体を付けるが如く在り、
また違った意味で、飽きる事の無い景色が
展開されて御座います。

強弱を繰り返しつゝ、止む事無く吹く風に、
藤の花がなびく時、

年を重ねた桃に良く似た、淡い藤色も、
皐月の風に溶け出して行くので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.26










機関車の
屋根も背後も
焔立つ






石巻線 前谷地-涌谷
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の日は、季節外れの炎天下と申しても
差し支え無い程の日差しが照り付け、
例年より早く汗だくになって御座いました。

機関車の屋根から吹き出さるゝ排気瓦斯と共に、
辺りを満たす大気ですら既に、
背後の森の姿を歪める程に熱せられて居るが如く
御座います。

斯様な時、鉄瓶の扱いが
何年経っても不慣れである事を
身に積まさるゝので御座います。

併し、此の“絞り過ぎ”の状態が逆に、
照り付ける日差しの強さを表現してゐるのではないかと、
庵で独り、密かにほくそ笑むので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.25










碧空に
淡く紫煙の
棚引ける






仙石線 陸前山下-石巻
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

架線下の紫煙で
一献を煎じると云う長年の想いが、
極く一部乍ら、漸く成就して御座います。

其れも、雲一つ無い青空と、
仙石線の組み合わせ。

或る種の黄金比的な物を感じつゝ、
鏡筒を覗き込んで僅か数秒、
車輪の軋む音、原動機の唸りが
耳に飛び込んで参ります。

併し其処からが、列車の牛歩と相俟って、
良い意味で些か長く感ぜられ、

何の当ても無い乍らも、
徒然に市内を目指して良かったと
思えたので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.24










山裾に
水も温(ぬく)まる
田の碧さ






石巻線 石巻-曾波神
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

照り付ける太陽が、当に
午前中の盛りと云うに相応しい程の
力強さを発揮する、石巻の町外れに御座います。

曾波神の駅裏の水田は、つい先日、
田植えを終えたばかりなので御座いましょう、
苗の青さも目に眩しく映るので御座います。

背後に聳える愛宕山の姿を
そっくりそのまゝ逆様に映し出す
水田の様を眺めて御座いますと、

水鏡の右端に、一陣の貨物列車が、
矢張りそっくりそのまゝ、
逆さに映し出されたので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.23










茅葺の
軒先掠め
朝(あした)来る






石巻線 涌谷-前谷地
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

宮城県随一の穀倉地帯を貫く石巻線。
其の沿線の中でも、一際目を惹くのは、
此方の茅葺屋根かと存じます。

古くからの農家、或いは、
一帯の庄屋様に御座いましょうか。

何れにせよ、長年に亙り
丁寧な手入れが為されて来た邸宅であろう事は
容易に拝察出来る事と存じます。

そして何より、
斯様な空の下も、風雨雪霜の候に在っても、
傍らを貫く鉄路を往き来する列車と共に歩み来たる佇まいが、
東北に生きてゐる事の安堵感を与うるので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.22










Misty





石巻線 涌谷-前谷地
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

江合川から立ち昇る川霧が、
咽(むせ)ぶ程の濃密さを以て、
大崎平野東端に立ち込めて御座います。

軈て陽が昇り、其の光が力強さを増して参りますと、
霧の向こうは青空である事を、
辛うじて感ずる事が出来るので御座いますが、

相変わらず、
太陽の位置を窺い知るまでには至らぬ程の
水蒸気の密度に御座います。

更に四半刻も経ちますと、
徐々に、霧に濃淡が出て参りまして、
幽かに線路の位置が分かるようになって参りました。

当に其の時、一本の貨物列車が、
音も無く足許を通り過ぎようとして御座います。

鳥谷坂の尾根に伸びる枝振りの見事さに
夢中になってゐた事も相俟って、
列車の姿を画角に認むる迄には
些かの時間を要したので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.21










朝の陽の
強さ其の身に
映しける






東北本線 愛宕-品井沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

さて、
朝霧は晴れ、と申します。

此の陽の此方界隈は、此の時点では既に
霧は晴れてゐたものと存じますが、

其れは此の、金太郎が鉞を振るったからに
御座いましょうか。

盛夏迄は、未だ暫く月日が有るのにも関わらず、
其れ程迄に、陽光の力強さを感じた
五月晴れの朝に御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.19










日々通う
路に差す陽の
澄み渡る






東北本線 岩沼-館腰
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今朝は珍しく、日々通う道の途上にて
“朝練”をして参った次第。

此方も、一日二往復の日参を続けて久しい
阿武隈急行の電車に御座います。

銀色の車両が旅客列車の
殆どを占める昨今に在って、

東北本線場を往来する此の列車の存在は
貴重なものでは無いかと、
個人的には考えるので御座います。

其れも、雲一つ無い青空の下であれば
尚更の事かと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.18










桜の盛りに






東北本線 船岡-大河原
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

後追い、かつ中途半端な構図にて、
御披露申し上げるのも恐縮至極に存じますが、
余りにも見事な盛りの桜が御座いましたので、
今更乍ら一献を煎じさせて頂く次第に御座います。

斯様な光景に、来年も亦相見ゆる事を、
心より願うばかりに御座います。

本日も多忙にて、
是にて失礼をさせて頂きとう存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.17










陽春に
里を貫く
籠の列






奥羽本線 白沢
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此処一週間、
此方の一献を野点した俯瞰への道程より厳しき労働にて、
庵に風を通す事も儘為らず御座いました。

併せて、線路際に出られないばかりで無く、
楽器にすら触れない週末が続いて御座います故、

誤解を恐れずに、
庵主の精神状態を損益計算的に表しますれば、
当に“商売上がったり”な処に御座います。

愚痴ばかりで恐縮至極に存じますが、
本日の一献は、誰が名付けたか
「白沢伐採地の裏俯瞰」に御座います。

悲鳴を上げる両脚に
鞭を入れつゝの道程も最早此処まで、
先達の皆様の足元にすら遥か及ばず
時間切れと相成りまして御座います。

此処で583系のお見送りと成ったので御座いますが、
疲弊した体を雪原に横たえてゐた折に通り掛かった
貨物列車を一献に煎じた次第。

残雪を抱く頂に抱かれた、そう大きくない集落を、
其の大きさよりも恐らく長いであろう貨物列車が
真一文字に貫いて御座います。

是も亦、一興哉。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.12










浮雲に
空の高さを
知る皐月






石巻線 前谷地-涌谷
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

是が、雲一つ無い澄んだ青空だと致しますと、
斯様に直線的な一句を捻る事が出来ず、
個人的には、甚く頭を悩ます事に成るので御座います。

此方の一献に写るのは、巻雲ないし巻層雲かと存じますが、
大凡、地上より二里~三里程の高さだそうで御座います。

…其れでも、十分に高う御座います。

そして此の空は、
雲の向こうに宇宙を見透かしてゐる訳で御座いますが、
比して、人類の営みの尺度のささやかさを
垣間見るので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.11










機を捉え
萌黄盛りて
息を呑み






東北本線 館腰-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の日も亦、庵近在の線路を徘徊致し候。
背後の踏切の鳴動に合わせ、
何時もの如く、気も漫ろに鉄瓶を構えて御座います。

徒然に鏡筒を伸び縮みさせた折。
画角の半分以上を占める菜花の萌黄色の鮮やかさに
些かの驚きを隠せずに居りますと、

逆に、列車の顔は、其の燃え盛る黄色に
すっかりと隠れてしまったので御座いました。

新型の近郊電車の勢力に圧され、
余命幾何と噂されて久しい719系電車では御座いますが、
此の芽吹きに劣らぬ力強き走りを、
其の電動機の唸りを以て、
花弁の翳からしっかりと伝えて来るので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.10










葉の翳の
揺れる水面に
止まる刻






常磐線 逢隈-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

雲が一面に広がり、
時折雨さえ降る黄金週間の終盤に御座います。

強弱を繰り返しつゝ吹く風に、
阿武隈川の水面の揺らぎは留まる処を知らず、
映し出す雲の色に皺を刻むので御座います。

畔に立つ一本の木に生い茂る若葉の瑞々しさは
此の曇り空で却って瑞々しく見えるので御座いますが、

川面に映し出された若葉の色は、
絶え間なく打つ漣で、辛うじて緑と判る位となり、
其れが亦、時間の移ろいを忘れさせるので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.09










陽に向かう
ぺんぺん草の
息吹見ゆ






石巻線 前谷地-佳景山
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

黄金週間後半は、庵人に御相伴賜り、
些かの贅沢をさせて頂いて参りました。

本日の一献は、其の道中にて
点てさせて頂いたものに御座います。

と或る農道の踏切にて、
丁度警報機の鳴動に差し掛かりましたので、
やおら鉄瓶を取り出し、角籠を飛び出します。

ふと足許を見遣りますと、
迸る生命力を発揮してゐる蒲公英に混じり、
懸命に茎を伸ばすぺんぺん草が。

列車は最早至近距離。
庵人の怪訝な表情を他所に、
防護柵の根元に這いつくばりまして。

間も無く南中を迎うる太陽に向かって
茎を伸ばすぺんぺん草が見せた、
儚き表情とは裏腹な、力強き一面を垣間見て頂けましたら
望外の幸甚に存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.08










華色の帯を巻き
夜の街へ






仙山線 東照宮-仙台
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

黄金週間の中間地点、
平日と休日とが交錯する、
都会の谷間に御座います。

翌日から、再び長い休みに入る事への
高揚感、或いは安堵感に満ち溢れた
列車内で在ったかと存じます。

何れにせよ、女性の車掌氏は、
黙々と職務に徹する処に御座いましょう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.07










淡き陽の透かす葉の緑の力強さ






石巻線 前谷地-涌谷
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

冒頭で捻った一句の如く、
そうそう上手くは行かないもので御座います。

拘り始めますと、笹の葉の重なり具合に至るまで
気になってしまうもので御座いまして。

空模様に目を転じますと、
陽の光に些か力強さが加わって居るかと存じますが、

初夏、では決して無く、では、春かと申しますと、
其れも亦違うかと存じます。
然らば、春の終わり、とでも申しましょうか。

斯様に中途半端な印象がある季節には御座いますが、
一献に写り込んだ光景は然に非ず、
存外に落ち着いた佇まいを見せるので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.06










或る小川の夕暮れ





東北本線 館腰-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の黄金週間は、
稲作をされる方にとりましては、
当に掻き入れ時かと存じます。

皆様の尊い御苦労がありましてこそ、
本日も白い御飯を頂く事が出来まして御座います。

改めて、心より御礼を申し上げます。

さて本日は、其の水田に水を引く用水路の脇で
夕暮れを迎えた際の光景に御座います。

本格的な水入りを前に、
泥除けなど入念な清掃が為されたと
聞いて御座いますが、

斯様に人の手が入って尚、
自然と一体化してゐる事に些かの安堵感を覚うるのは、
庵主が生粋の東北人で在るが故の事に御座いましょう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.05










菜花伸びる





東北本線 館腰-岩沼
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今時分は、
菜花の黄色が盛りを見せる頃合かと存じます。

庵近在で、此の、折角旬を迎えた黄色を、
どうにか一献に立てられればと思い、
鮫踏切の脇に参じて御座います。

最初は、真っ直ぐに天を目指して伸びる
菜花の生命力に感心して御座いましたが、

此処で四半刻も過ごす内、時折画角を占領する
此の曲がりくねった菜花の存在も
気に為り始めたので御座います。

夕暮れの光線に、花弁だけで無く、
茎の印影まで求むる事が出来ようとは。

庵事の合間に新たな発見をした、
黄金週間の夕暮れに御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.04










宵の口





東北本線 名取
2017.5


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

宵の口を迎え、
遍く空から蒼が舞い降りて参ります。

庵近在の駅も漏るゝ無く、
夜の帳を迎え入れ、蒼く染まるので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.01










やうやうと
宇宙の色に
染まり来て






東北本線 館腰-岩沼
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

あっと云う間に五月を迎えて御座います。
庵近在は、暖かいのか寒いのか、
能く判らぬ日々に御座います。

昨日は、庵人の安産祈願と、
庵主の前厄払いと云う事で、
油揚げで有名な定義山(じょうぎさん)に
詣で参じました。

仙山線熊ヶ根駅から三里程、
奥羽の山懐深くに突如として現るゝ
桃源郷の如き門前町と巨大な寺院は、
広く東日本から様々な願事が集う名刹に御座います。

さて本日の一献は、
定義詣での数日前の夕暮れに御座います。

只でさえ翳る一方の里に鉄瓶を向け、
思い切り露光を絞った結果、

高く澄んだ空は恰も宇宙の色を其の儘映し出して居るが如く、
蒼とも黒とも付かぬ色合いを示したので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。