2016.12.31










横たわり
躯(からだ)休める
終(つい)の駅






東北本線 青森
1999頃


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今年は、庵人の生家で年を越させて頂く、
庵主に御座います。
今宵は大人数が集まる事に成って御座います故、
微力乍ら、何かと準備が御座いまして、
ちょこまかと動き回ってゐる処に御座います。

今年は、皆様のお陰様を持ちまして、
前年迄と比ぶれば、野点の機会は、其れ成りに
多く得られて御座います。

そして、野点に訪れた先々で、多くの諸先達方に
お引き合わせを頂き、また、
数々のご教示と新たな視点、そして愉しい時間を
賜りました事は、
数年の中断期間を経た後の一年としては、
望外の幸甚此の上無く、有り難き事と存じます。

拙庵を御愛顧頂いて居ります御来庵の皆様方も、
誠、同様に有り難き事に御座います。

草庵からで恐縮至極に存じますが、
改めまして、心より御礼申し上げます。

さて、昨日に引き続き、
熟成茶葉の蔵出しにて恐縮に存じます。

前世紀末の東北本線は、
今世紀に入ってからとは、また違った活気に
満ち溢れてゐた事を懐かしく思い出してゐる、
年の瀬の庵に御座います。

此の光景とて、今や、某夢の國と往き来する
列車の運転日だけのものと成り、
最早非日常の光景に相成りまして御座います。

そして、此の旅情溢るゝ光景も、
間も無くまみゆる事が出来なくなるとの
風の噂に御座います。

東北本線を北の終(つい)まで夜通し馳せ参じた老兵。
プラットホームに其の体躯を横たえ朝陽を浴びつゝ、
車庫に引き上げるまで、暫しの休息に御座います。

今年もまた、多くの皆様方に御相伴賜り、
誠に有難う存じました。

来年も皆様方の御来庵を、
囲炉裏に気紛れに火を入れつゝでは御座いますが、
心よりお待ち申し上げて居ります。

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2016.12.30










四つ目の照らす径





東北本線 青森県内
1999年頃


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

点てた年は明確に覚えて御座いませんが、
光画紙を電子化した一献に御座います故、
茶葉の質は、何時も乍ら、ご容赦賜りとう存じます。

四燈の前照燈はおろか、此の塗色自体、
既に見る事が出来無く為って久しく御座います。

当時、東北新幹線八戸開業を控え、足繫く通った此の区間で、
今にして思えば贅沢なのでは御座いましょうが、
見飽きる程に485系や583系を眺めたもので御座います。

一時間おきぐらいにやって来る列車を待つ間に間に、
当時乗ってゐた、初代移動式庵(既に崩壊寸前)
の開け放った窓を吹き抜ける風の匂いだけは、
今でも鮮烈に印象に残ってゐるので御座います。

嘗て国鉄型特急が闊歩した此の大街道は、
平成の世に在って、最期まで由緒正しき昭和の様式を堅持してゐた、
稀有な路線であったかと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.29










茂る葉を
潜りて涼む
峠道






磐越西線 磐梯町-東長原
2016.6


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本日も、ご来庵賜り、誠に有難う存じます。

また、昨日に引き続き、
時節を大きく外れた一献を重ねまして、
恐縮至極に存じます。

梅雨の晴れ間の峠道、
湿気と相俟って、暑さも一入かと存じます。

生い茂る緑の下を潜りつゝ、
初夏の陽射しを和らげ、涼を摂る峠道に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.28










荷物提げ
何処へ出向く
鉄路にて






東北本線 館腰
2016.6


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

この頃、毎度の事乍ら、
些かの熟成茶葉にて恐縮に存じます。

手荷物を持ち、
若干の御洒落を致して居ります此方の御仁、
どちらへ御出掛けで御座いましょうか。

燈火に照らされ、鈍く輝く線路が、
旅路への郷愁を淡く誘い出すので御座いましょう。

庵近在の小さな駅とて、
長短は有れど、旅路の出立点には
変わり無いので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.27










剛腕を
暮れに溶かして
駆くる路






東北本線 名取-館腰
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此処数年で、日常的に庵近在を駆くる機関車は、
本当に金太郎一色に成って御座います。

殊、近年の技術の進歩は、
時の流れの二乗に比例するが如く在るかと存じます。

同時に其れは、流行り廃りの周期の短さを
物語ってゐるものと存じます。

併し、如何様な機械でも、時を経る事に拠る変化は、
良くも悪くも訪れる訳で御座いまして、

良い方の変化だけに視点を合わせた云い方をすれば、
彼の剛腕にもまた、いつか沿線風景に溶け込む日が訪れん事を、
僅かながら願う夕暮れに御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.26





東北本線 館腰-名取
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

師走。
如何に偉い御仁でも、足早に移動せざるを得ぬ程に
気忙しい時節である事を表現した言葉かと存じます。

庵至近を往来する電車も、
心なしか、寒風に首を竦めつゝ、
何時もより忙しなく駆け廻ってゐるが如く御座います。

年の瀬を前にして、
所謂「非鉄」なのは毎度の事で御座いますが、
拙庵も此の週末は多忙を極め、
角籠を駆り、数件の御宅を訪問申し上げて御座いました。

庵主の宗家と庵人の生家も併せて廻らせて頂いて御座いましたが、
中でも、宗家有史以来の大きな変革を得られた事は、
庵主の中でも相当に印象的な出来事に御座いました。

私事で恐縮に存じますが、斯様な変革を迎え、
写真や音楽の技術の向上も然る事乍ら、其れ以上に、
庵人をはじめ家族を抱える我が身の研鑽に、

拙庵をご愛顧頂いている多くの諸先達の皆様方の
御指導、御鞭撻を賜りつゝ、
今後とも精進して参る所存に御座います。

さて、嘗て“近未来”と呼ばれた
二十一世紀に突入して久しく在るにも拘らず、
人類は、有史以前より生息する種々の病原菌に
苛まれて御座います。

庵近在でも、殊、感染性胃腸炎に関しては、
今月中旬頃より流行警報が発令されたまゝになって御座います。

御来庵の皆様方に於かれましても、
予防接種、手洗い、嗽など御励行頂き、
十分な睡眠も併せて確保され、重々ご自愛頂きますよう、
自戒の念も込めつゝ、此処に書き置かせて頂きます

数日残って御座いますが、
今年も、多くの皆様方に御来庵頂き、
心より篤く御礼を申し上げます。

また、開庵以来、延九千を超える多くの皆様方に
御来庵頂いて御座います。誠に有難う存じます。
今後とも、庵近在を中心に、作風や技術を模索しつゝ、
徒然に一献を点てて参ります。

何かの折で結構で御座います故、
今後とも気長に御相伴を賜りますれば、望外の幸甚に存じます。
改めて、何卒よろしく御願申し上げる次第に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.24










水門





東北本線 南仙台-名取
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

用水路と云うには、
余りにも清らかな水が流れて御座います。
近くに水源でも在るので御座いましょうか。

小春日和と相成りました先日、
庵近在を漫ろ歩きしていた折に見つけた
情緒豊かな名も無き小川に御座います。

此の綺麗な水が、大都市近郊に在りつゝ、
作物の一大生産地と成ってゐる此の街を
支えてゐるので御座いましょう。

山、海、川、そして里と街。

程良い距離を保ちつゝ共存し、
今日も豊な日々を紡ぎ出す、
庵近在に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.22










頂を
寿(ことほ)ぐ酒宴の
道すがら






羽越本線 遊佐-吹浦
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

私事では御座いますが、
庵人の体調を気に掛けつゝ、
日々の雑事にも追われて御座いまして、

例年の師走より、些か忙しさが増してゐる中での
一献に御座います。

何と申しましても、
頂まで姿を見せた鳥海山と彼の列車の組合せに優る一献は
今までの所、点てる事が出来てないので御座います。

あの日、あの光景が恋しくとも、
そして仮に、斯様な時間が出来たとしても、
再度相見える可能性は殆ど御座いません。

僭越乍ら、其れこそが、
野点をする面白さであり、厳しさでもあるものと
存じて居ります。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.20










金太郎
小春日和に
足軽く






東北本線 名取-館腰
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の時期の庵近在は、
乾燥した晴天に為る事が多いので御座います。

斯様な時期、管楽器を演奏する者故の悩みが、
唇の乾燥による怪我に御座います。

自らの唇を振動させて音色を発する金管楽器、
成型された葦片を振動させて音色を発する木管楽器。

節操無く、両方吹き鳴らす庵主としては、
何方の楽器を演奏する際にも、唇を切ってしまう事が
何より怖い事に御座います。

手入れを怠って居りますと、時には、何時の間にか、
唄口の中が血だらけに為ってゐる事さえ有るので御座います。

斯様な訳で、時折恨めしくさえ思える此の晴天の下、
洗練された足回りで無遠慮にかっ飛ばす金太郎を眺め、
胸の閊えを降ろすので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.19










碧空の
色を纏ゐて
テヰクオフ






東北本線 南仙台-名取
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

空港へと向かう列車は、
これから車中の皆様方が飛び立つ空と
同じ色の帯を巻き、

颯爽と駆け抜けて行くので御座います。

処で、沿線に広がる畑では、
何が作付されてゐるので御座いましょう。

此処で育った作物も、いずれ、
此の列車と共に大空へと羽ばたく時が
来るので御座いましょうか。

陽光が暖かな、師走の或る畦道に御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.18










野菜と果物





東北本線 名取-南仙台
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

東北本線の日常…と申しますか、
本日も、先週に引き続き、庵の近隣を
果物列車が駆け抜けて御座います。

其処で、と云う訳では御座いませんが、
庵の在る街は、野菜の栽培が盛んに御座います。

中でも芹が有名に御座いまして、
芹鍋など、都にお住まいでも御存知の方が
居らるゝと聞いて御座います。

而して本日ご相伴賜ります野菜は、
白菜に御座います。

此方も芹に負けず劣らず、
鍋料理の具材の代表格かと存じます。

昨夜、庵で供された鶏出汁の鍋は、
此の白菜の甘みが最大限引き出され、
庵史上嘗て無く美味で御座いました故、
本日の一献と相成りまして御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.17










道中の
無事を願ゐて
赤鳥居






東北本線 槻木-岩沼
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

毎々似たような場所での一献に御相伴賜り、
御礼を申し上げます。

先日、庵近在を、ふと思い出したかの如く駆け抜けた
白昼の箒星に御座います。

定期便の時代には、終ぞ乗る事が叶わず、
再登場したと思いきや、庵主の如き小市民の懐には
大変に厳しき高嶺の花へと一気に上り詰めた感が御座います。

せめて、是からの車中の人と相成る方々には、
此方の赤鳥居の傍らより、羨望の熱い眼差しを送りつつ、
道中の無事と幸多き事を祈念申し上げとう存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.16










煌めくは
烏帽子を載せし
雪山の






東北本線 槻木-岩沼
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

蔵王の峰々もすっかりと雪化粧した、師走。
そして、雲を頂きに載せた烏帽子岳が見下ろす里。

冬枯れの到来と時を同じくして、仙台地区最長編成は、
其の使命に幕を下ろしたので御座います。

庵主自身は、之にて見納めと相成りまして御座いますが、
其の一献が、単腕集電架の編成を含むもので在った事は、
些か奇妙な巡り合わせで在ったかと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.15










月読の
見守る里に
箒星






東北本線 岩沼-槻木
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

拙庵から、角籠を駆り四半刻足らず、
例により、庵事の間隙を縫って、
某・番長殿の御膝元付近に参じて御座います。

雪も止み、
傾ぐ陽が僅かに顔を覘かせて来るのと対照的に、
道が凍り始めて御座います。

寒風が頬を突きはじめた線路端で、
東の空より昇り始めた月読様に、何処か独り後ろめたさを感じ、
何事かを念じ、軽く頭を垂れた折。

今度は地を這う箒星が、胸の空く韋駄天振りで、
庵主の脇を通り過ぎて往き。

「何事かは知らぬが、心配のし過ぎで御座ろう」と、
背中を押してくれたので御座いましょう──
と、何時もの如く、都合良く解釈し、
短い帰路に就いたので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.14










清冽な
気を貫きて
河越ゆる






常磐線 逢隈-岩沼
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此処半年、庵事の間隙を縫っての野点と成ってゐる為、
どうしても夕暮れ時の一献が多く成って御座います。

にも関わらず、御相伴を頂いて居ります皆様方には、
改めて心より御礼を申し上げる次第に御座います。

さて、此の週末は、珍しく些かの積雪を見た
庵近在に御座います。

昼八ツを過ぎ、陽も傾いで来たからか、
雪が止んでからの方が肌寒さを一層感じて御座いました。

土手に佇みますと、阿武隈川を通り抜ける風も、
其の清冽さを増した事は明らかで、
鏡窓の狭い視野を通しても伝わって来るので御座います。

尤も、北の大地のあの光景には
到底敵わぬ訳では御座いますが。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.13










地上より
月へと念ずる
千一夜






東北本線 館腰-岩沼
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の週末は色々御座いまして、
日頃より忙しい庵がより慌ただしく成って御座いました。

さて、庵事も一段落し、合間の一服の折に、
一献点てて御座います。

陽の入りも早まり、麓まで下りて来る冷気も
愈々強さを増して御座います。

白い息を吐き乍ら、田圃の真ん中を漫ろ歩きして居りますと、
県道の陸橋の後ろに、月が煌々と輝いて御座います。

何故か、念ずれば通じそうな気が致しまして、
何時もの月より、些か神々しく見えた、
師走の夕暮れに御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.11










無遠慮に
広がる海の
色深き






信越本線 米山-笠島
2016.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

庵近在も、愈々雪化粧と相成りまして御座います。
暖かくしてお過ごしで御座いましょうか。

本日の一献は、季節感が無く恐縮に存じますが、
信越海線の風景に御相伴を賜りとう存じます。

漸く、春が波打ち際に上がって来そうに御座いますが、
海の色は、春到来まで今一歩の処に御座いましょうか。

斯様な中、季節を先取りした色を纏った短い電車が、
まるで勿体振るかの如く、庵主の足許の隧道に
あっと云う間に吸い込まれて行ったので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.10










鈍色を
闇に溶かして
首竦(すく)め






東北本線 館腰-名取
2016.11


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

本日より、常磐線の相馬~浜吉田間の運転が
再開されて御座います。

当該区間の巴士利用を余儀無くされて居られました
沿線住民の皆様方の喜びや安堵も
一入(ひとしお)かと拝察申し上げる次第に御座います。

之に拠り、日日の電車通勤・通学の風景が
戻って来る事かと存じますが、

其れ成りに混雑する電車の窓、
其の外で日々展開さるゝ斯様な夕暮れは、
之までも、之からも、変わらないので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.09










朝焼けに
不忘の山の
肌映えて






東北本線 北白川-大河原
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

晴れた割に、冷え込みの緩んだ大河原の町外れ。
白石川の川霧が、里に幽かに棚引いて御座います。

伊具丘陵の北縁と、奥羽山脈の蔵王山系の南縁が、
白石川を隔てて接する此の地域は、

古くから宮城県南部の交通の要衝として
一定の発展を見た地域に御座います。

有史以来長らく、
基幹交通として機能してゐる東北本線かと存じますが、
矢張り、白石川沿いの平野部に、陸羽街道と共存して御座います。

薄っすらと雪化粧をした蔵王を其の車窓から望み、
朝陽を右側面に浴びつゝ、今日も件の八連が、
里を貫く大街道を、利府目指して馳せ参じて御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.07










真新し
混凝土に
明日を見て






常磐線 坂元-新地
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

前日までの晴天とは一転、薄雲の立ち込める太平洋側。
内陸移設と一部高架化で“強い常磐線”に生まれ変わる
丁度一週間前の一献に御座います。

今後、通常旅客列車だけで無く、
何かしら興味深い列車が来る事もあろうかと、
庵事の合間に、野点の場所探しに御座います。

高架線に為っただけの事は有り、
見晴らしの良い場所は点在して居るので御座いますが、

試運転列車の時刻も何の情報も持たぬまま参じた事もあり、
矢張り、一刻程の制限時間では攻略し切れず、
諸先達方の仰せの処の“再履修”と成りましょう。

真新しい混凝土(=コンクリート)の路に
一歩を踏み出し、早一ヶ月。

長寛な田園風景の間に間に、遠く海を望むと云う車窓は
過去のものと為りまして御座いますが、

白い輝きを放つ路盤は、現在から未来を繋ぐ重要な使命を、
永きに亙り務め果(おお)せる事で御座いましょう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.06










在り難き
神の裾野に
息を呑み






羽越本線 遊佐-吹浦
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

彼の山は、仮令(たとえ)雲が掛かってゐても、
其の圧倒的な存在感が漏れ伝わって来る
ので御座いますが、

雲一つ無い快晴と申しますのは、
此処まで威力が有るものに御座いましょうか。

此の光景に相見えた瞬間、九十里程の旅程の疲れも、
長い嘆息と共に、一気に吹き飛んだので御座います。

思いがけず、雲量「零」と云う駄賃まで付き、
充足感で満たさるゝと同時に、帰路迫るに当たり、
強烈に後ろ髪を引かるゝ思いに苛まれたのも正直な処に御座います。

此の儘、角籠に籠りつゝ、明日一杯迄、此の路線を堪能したい。
併し、明日は庵の行事が。
斯様なもやもやを抱えつゝ、“宛の無い帰路”に就いたので御座います。

此のもやもやが奏功してか、
其の“宛の無い帰路”に生じた嬉しい顛末とは──

ちなみに、此方の陸橋、庵主到着後に、
御父様と御子息…で御座いましょうか、
御二方お見えに成って御座います。

御子息殿より、礼儀正しく御挨拶を頂戴し、
庵主もつられて「お疲れさまでした」。

礼に始まり礼に終わるのは、如何様な状況でも同じで御座います。
御相伴を賜りました御二方に、襟を正して頂きました。
誠に有難う存じました。

本日は、駄文長文に御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.05










甲子でさえ
届かぬ空を
浴す朝






東北本線 白坂-豊原
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

先ずは、此の空に出会えた事に、
感謝と感動を覚えたのが正直な処に御座います。

客車急行が、此度限りの復活を見せるとの報を頂き、
重い腰を上げ、黒川橋梁まで参じた折。

那須や甲子の山々が織りなす景観は人々の麗目を潤し、
其の裾野に目を移せば、高原状の地形の中に在って、
福島と栃木を隔てる一部のみ、豊かな高低差を示して御座います。

此の地域の開拓以降、長きに亘り、
人々を魅了し続けるのも頷けるので御座います。

其れに致しましても、此の日は宇宙まで抜けんばかりの青空。
鉄橋などと云いつゝも、人々の営みなど斯くも小さきものかと、
心底思わさるゝ那須の空に御座いました。

地元で快く送り出して頂きました某・番長殿、
列車の通過一分前に到着したにも関わらず、
前回に続き、現場でお世話に成りました人気先生殿、
草庵からで恐縮至極に存じますが、
心より御礼を申し上げとう存じます。

此の青空が励みとなり、
足元を濡らしつゝ九十里程移動した辛苦も
和らいだので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.04










鳥海を
染め上げ今日の
陽も傾ぐ






羽越本線 南鳥海-本楯
2016.12


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

鳥海山と羽越線の組合せは、
出不精な庵主が嘗て其の麓へ足繁く通う程に、
斯くも此の上無く人を惹き付けて止まぬ存在であると存じます。

特に、頂の切っ先まで姿を見せる事自体、
彼の山に関しては珍しい事の様に御座いまして、
今回は当に望外の幸甚を浴した事と相成りまして御座います。

其のお蔭で、
例年より少ないとは云え十分な量の雪を冠した頂が、
没する直前の幽かな夕陽の朱に染まる光景を、
一抹の雲も無く此の目に焼き付ける事が出来たので御座います。

此の神懸かり的な光景を共にし、
愉しいお時間と有意義なお話を頂きました、
麦酒王殿、食列車殿、雨宮殿89貨物殿に、
草庵からで恐縮至極に存じますが、
心より御礼を申し上げます。

当ても無く帰路に就く(?)途中の線路端で
多くの皆様方にばったりお会い出来ました事は、
日頃より出不精な庵主に取りまして、
今年一番の幸運に御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.02










風温くみ
山の微笑に
花添うる






羽越本線 仁賀保-金浦
2012.4


***************

本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此処数日、完熟茶葉の一献に
御相伴を頂戴し、恐縮に存じます。

麗らかな晴れ間が広がる日本海側は、
比類無き過ごし易さが在るものと存じます。

風は穏やかに成り、根雪や吹き溜まりも消え、
陽は差してゐるものゝ、突き刺すが如くの訳でも無く、
晴れ間は有るものゝ、真っ青な訳でも御座いません。

櫻の色や陰影まで、凡てが穏やか。

冬の厳しさに想いを馳せる事無く、
いっその事、此処に住み着いてしまおうとさえ思う、
独りの余所者に御座いました。

そして其処に、誉れ高き名山と、
昭和産まれの列車が在るなら、
尚の事に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.12.01










躍り出た
先の磯場の
穏やかさ






羽越本線 小砂川-上浜
2012.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

日本海の磯場は、様々な表情を持ち、
適度な高低差で多くの人を魅了して御座います。

羽前と羽後の国境付近も例に漏れず、海と山が程良く接し、
人間が立ち入る余地を与えてゐる様に御座います。

冬の荒海とは一線を画し、早い時期に凪が訪れた
此方界隈の海。

自然の地形の借り受けを最小限に留めて敷かれた線路。
其処を、籠を連ねた昭和の名機が穏やかな磯場へと
躍り出て参ります。

急ぐでも、鈍るでも無い其の速度は、此れも亦、
気候風土へ溶け込まんとする、列車の思い遣り
──とは、過言に御座いましょうか。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。