2016.08.30










故郷の薫り伝えて今去りぬ





東北本線 南仙台-太子堂
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

風雨が庵を激しく洗う、近在に御座います。
北日本一円、厳重警戒が続いてゐる事と存じますが、
お変わり御座いませんでしょうか。

拙庵では昨夜、非常食や懐中電灯等の点検を実施し、
必要なものを補充し、今日に備えて御座いました。

──扨て、斯様な空模様では御座いますが、
本日も一献を点てさせて頂きとう存じます。

ふるさとの かおりつたえて いまさりぬ

彼の気動車が登場してから、
此の界隈の光景も随分と様変わりしたものと存じます。

高層住宅街を脇目に、
数多の“故郷”を駆け抜けた日陰の名車が、
原動機の音も高らかに駆け抜けて参ります。

装いを改めたとは云え、
国鉄時代の秀逸な設計の遺伝子が
しっかりと息衝いてゐる車かと存じます。

昭和が亦一つ鉄路を去った、
残暑厳しき昼下がりに御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

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2016.08.29










山裾の体躯に映す今日の空





東北本線 岩沼-槻木
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

彼の電気機関車を追い、
家事の合間を縫って近在に参じた、昨日の日曜日。

前日土曜日の自身の楽団の演奏会の疲れに、
御覧の空模様も相俟って、勝手知ったる土地にも拘らず、
中々絵に成る一献を点てる場所を見つけられずに右往左往。

結果、先達の皆様のお知恵を拝借し、
同じ場所に潜り込ませて頂く事と相成りまして御座います。

僅か一献の試し煎じを頼りに、画角の設定にも苦心した結果、
満天の雲とほゞ同じ色をした車体を、
空に溶け込ませない様にするのが精一杯だった訳で御座います。

併し乍ら、国鉄型電機が、世紀を跨いで元気に働く姿を
一献に点てさせて頂く事が出来ましたので、
是は是で大切な記録と致しとう存じます。

現地の野点でお世話になりました皆様、
そして踏切端でこれまた偶然相見えました某・塾講師殿、
毎度毎度、草庵からで恐縮に存じますが、心より御礼を申し上げます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.27










陽が差して嘗ての賑わい見る影に





岩手開発鉄道 日頃市
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

ひがさして かつてのにぎわい みるかげに

日頃市駅の正面入口には、立派な庇があり、
強烈な日差しや風雨を遮り、
無人となった駅で役目を果たし続けて御座います。

旅客営業を行ってゐた頃の賑わいを、
コンクリートによる重厚な造作に
垣間見る事が出来て御座います。

嘗て駅舎に出入りしてゐた人々に替わり、
今日では、日に何本もの石灰列車が、
庇の下を行き交うので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.26










車列為し宝珠柱に加護賜う





岩手開発鉄道 長安寺-猪川
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

しゃれつなし ほうじゅばしらに かごたもう

海と山を結ぶ列車が、其の道中に臨みしは、
長安寺の門前で盛川を跨ぐ「長安寺橋」の
赤い欄干に御座います。

三陸きっての巨刹の門前らしい重厚な佇まい、
其の親柱を飾る擬宝珠が、世界および地域の安寧と、
日々の列車の安全を願ってゐるものと存じます。

御仏の思召しに添わんとするが如く、
砰籠の車列は静々と、そして敬いつゝ、
門前を港へと向かうので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.25










名も知らぬ花弁誘う汽車の土手





岩手開発鉄道 長安寺-日頃市
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

なもしらぬ かべんいざなう きしゃのどて

可憐な花が数輪、土手を駆け上がるが如く
花弁を並べて御座います。

其の様子は、まるで庵主を誘うが如く在り、
当に吸い込まるゝようにふらふらと
土手を登って行ったので御座います。

暑さも相俟って、愈々朦朧として参った処、
ヂーゼルヱンジンの力行音と砰籠の地響きで、
はたと我に返ったので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.24










山海を紡いで木々と活くる径





岩手開発鉄道 日頃市
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

さんかいを つむいできぎと いくるみち

途中駅で貨物扱いをしてゐた痕跡で御座いましょうか、
駅構内の片隅と云うには些か大振りな上屋が、
見事な骨組みを惜し気も無く披露しております。

あれが棟木、あれが母屋、あれが垂木、
真束、方杖、小屋筋違、挟み束──

まるで、木造建築工法の教科書に載りそうな
佇まいに御座います。

此処は、深き森と、蝉時雨、そして、
時折行き交う砰籠の地響きの他には、
何も無いので御座います。

昭和二十五年に当駅が開業して以来、
山と海とを結ぶ此の鉄路と共に関わる遍く人々が織り成す日々を、
朽ちる事無く見守り続けて来た木組みこそが、

此の建築物の魅力の正体ではないかと、
僭越乍ら、拝察する次第で御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.23










潺に寄り添い閑歩する空に





岩手開発鉄道 日頃市-長安寺
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

せせらぎに よりそいかんぽ するそらに

台風一過の青空かと思いきや、
今一つ青味の物足りない空が広がる庵近在に御座います。

近在には昨夜、避難準備情報が出され、
拙庵も一時近在の寄り合い所への避難を考えて御座いました。

未だ豪雨や暴風等の被害に見舞われている地域もあると伺います。
御来庵の皆様方に於かれましては、お変わり御座いませんでしょうか。

扨て、穏やかに飛沫を立てる、石橋川の直ぐ川縁に佇んで御座います。

澄んだ流れに目と耳を奪われ、暫し川面を眺めて居りますと、
今日の何往復目か、石灰列車が思いの外静かに、
川沿いの築堤を下って参ります。

潺の音が掻き消さるゝ哉、と思い、何故か肝を冷やして居りましたが、
其の心配も、どうやら杞憂に終わったように御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.22










夕闇に旅情溶かして燈火往く





東北本線 東白石-北白川
2016.8


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

蔵入り茶葉にするのも些か忍び無く、
引っ張り出してみた迄は良かったので御座いましょうが──

此の車の持つ、何と云うか、空気感で御座いましょうか、
兎に角、此の車を前に致しますと、
写し留めるのに四苦八苦するので御座います。

是も偏(ひとえ)に、庵主の語彙の少なさと
一献を煎じる技量の少なさ故と
理解してこそゐるので御座いますが…。

結果的に、夕闇に紛れ「させた」のでは無く、
紛れて「しまった」ので御座いまして、
其れも、車輛そのものでは無く、
其れ以外の何かも多分に紛れてしまったので御座います。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.21









森に身を埋め進むは石の道





岩手開発鉄道 岩手石橋
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

もりにみを うずめすすむは いしのみち

先日より暫く、岩手開発鉄道の一献に
御相伴を賜って居ります。

二十数年ほど前迄は、石灰石だけでは無く
沿線にお住まいの皆様方も運んで居りました。

然し、旅客営業を辞めた後を引き継いだ
岩手県交通の路線巴士ですら、
つい先日より運行を休止する程の状況に御座います。

即ち、当時と比して、
森の深さが増しているとも云えましょう。

深さを増した森に終生を捧ぐが如く、
空色のヂーゼル機関車が、其の身を埋めて御座います。

大船渡と云う港街と、山と、自然を、
明日もまた、実直に繋いで往くものと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.20










空の色映して闊歩する谷間





岩手開発鉄道 岩手石橋-日頃市
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

然程深くは無いものの、
深き緑に覆われた山々の頂が際立つ、
盛川の谷間に御座います。

頂を際立たせてゐるのは、
其の更に上を流るゝ雲たちかも知れません。

何かと「見上げる」機会の多い庵主に御座いますが、
此の日も此の場所で、やゝ暫く夏空を見上げて居りました。

些かの地響きに気付いた頃、
川の向こう側より、雲の如く沸き出で来る石灰列車。

三伍屯積砰籠を十八両連ねた堂々の編成を率いるは、
今日の空色を其の儘纏いし、五十屯級四軸機。

線路の直ぐ傍らで、
漫然と空を見上げる庵主の事など意に介す筈も無く、

唯、其の使命を全うすべく、
然し沿線に溢るゝ自然と一体となり、
悠然と積み出し港へ向かうので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.19










後続の燈火上りて日は暮れて





東北本線 陸前山王
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

運行予定の大幅な修正を余儀なくされた寝台特急は、
陸前山王駅にて日没を迎えて御座います。

同時に、夜の混雑時間帯を迎え、
此処で多くの列車を遣り過ごす事と
相成りまして御座います。

軈て、後続の高速貨物列車が、
燈火も高らかに追い上げて参ります。

其の様子を身動ぎ一つせず見守る彼の列車は、
現役時代に日本一豪華な定期列車として君臨した風格を
存分に我々に魅せ付けるので御座いました。

現場でお会いした某・塾講師殿、
自動車業界関係の御仁ほか、皆様にお世話になりました事、
草庵からで恐縮に御座いますが、御礼申し上げます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.18










眼差しに過ぎ行く夏の残り香を





東北本線 陸前山王
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

珍しく、東北地方を台風が直撃して御座いました。
御来庵の皆様方に於かれましては、
御無事で御座いましたでしょうか。

庵主の生業の場は、海抜零米地帯に在るにも拘らず、
お陰様を持ちまして、辛うじて難を逃れて御座います。

扨て昨夜は、其の台風の煽りを受けて、
時ならぬ来訪者在りとの報を頂き、
郊外の小駅へと参じて御座います。

日没直後、
消え入る直前の陽光に淡く照らし出さるゝ電気機関車。

夜行列車の旅立ちに相応しい薄暮に精悍な顔立ちが映え、
始発駅、増してや普段停車すらしない小駅にも拘らず、
出立の意気軒高とする雰囲気が感ぜられたので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.17










砰籠に突き刺す陽差し黒も映ゆ





岩手開発鉄道 岩手石橋
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

ずりかごに つきさすひざし くろもはゆ

此の日弐番目の列車乍ら、
御天道様の高き事、また力強さに圧倒さるゝ
線路際に御座います。

同時に、砰籠が連なる様にも迫力と力強さが御座います。
空車と云えど、此れも亦、見る者を圧倒する光景かと存じます。

地方の片隅の小さな鉄道にも拘わらず、
日本の産業を支えてゐる事には変わり無く、

大船渡市内に敷かれた線路が、
些か誇らしげに見えるので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.16










喘ぎつゝ来る途いま陽溜まりへ





岩手開発鉄道 日頃市-岩手石橋
2016.8


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

あえぎつつ きたるみちいま ひだまりへ

六百馬力のヂーゼル機関車が紫煙を吹き上げ、
終点間近の急勾配を登って参ります。

空車と云えど、
其れ也の重さを牽いて来る訳で御座いますから、
矢張り、最期の踏ん張り処と申せましょう。

三里余り、登り一辺倒の苦労が、
若草の敷き詰められた柔らかな陽溜りに癒さるゝ、
斯様な光景かと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.15










陰陽の硲駆くるは吾の刻





東北本線 東白石-北白川
2016.8


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残暑お見舞い申し上げます。

おんみょうの はざまかくるは われのとき

足早に過ぎ去る東北の夏を体現するかの如く、
彼の名車もまた、愈々其の燈火を落とそうとしてゐる処かと存じます。

陸奥の経済成長を支えて半世紀。
定期運用こそ無いものの、未だ現役である事も相俟って、
其の名声と流麗な姿は人々の心を捉えて離さないので御座います。

斯様な車にこそ、此の、夜と昼の硲の、
幽かに残った陽の光、残照と云うには過ぎる、
仄暗い雰囲気が一番似合うものと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.14










上がる汽車下りる汽車とて一の途





岩手開発鉄道 長安寺
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

あがるきしゃ おりるきしゃとて いつのみち

単線非電化の本路線は、
其の割に運行頻度が高う御座います。

僅か三里程の路線乍ら、長安寺・日頃市の二駅にて
上がり下りの列車の行き違いをして御座います。

本日の一献は、此の二駅の内、麓側の長安寺駅にて
点てさせて頂いたものに御座います。

一つの途(みち)を二つの列車が仲睦まじ譲り合ってく行き交う様に、
日頃の心労が溶かされて行く気がしたので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.14










空の微笑み若き穂を揺らす朝





東北本線 館腰-岩沼
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

苛烈な日差しも些か形を潜めた、
今年のお盆に御座います。

大変穏やかな盆の入りの朝。
今日も旅先を目指す寝台電車が、
空色の風を一陣、運んで参ります。

穂を出したばかりの稲が、其の残り香に
嬉しそうにそよいで御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.12










ボタ山の指す頂の青き事





岩手開発鉄道 岩手石橋
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

昨日は、山の日に御座いました。

政治の専門家では御座いませんので、
制定された経緯は悪しからず存じ上げ兼ねますが、
兎に角、国民が初めて迎える“新たな祝日”に御座います。

折角の“山の日”と申す位に御座いますから、
山を目掛けて角籠を駆り、三陸沿岸へと参じて御座います。

巨大なバッチャープラントと、
何処までも真っ青な天を目指し、
更に伸びて行くかの如き威容を誇るボタ山。

其の麓を、幾重にも連なる砰籠(ズリかご)が、
船の待つ港へ向け、地響きを轟かせつゝ下って往くので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.12










青空の帯を纏いていざ会津





東北本線 名取-館腰
2016.8.12


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今朝もこれ以上無い程の青空と相成りました
庵近在に御座います。

其の空と、ほゞ同じ色の帯を纏った特急電車が、
今夏も会津通いを始めたと聞き、
出勤途上にて、取り急ぎ一献を点てさせて頂いた
次第に御座います。

急拵えのため、
何かと不行き届きの多き一献と相成りました事
ご容赦頂きとう存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.10










垂れ込める雲に苦も無く花弁向け





東北本線 岩沼-槻木
2016.8


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

つい先日、今季初の台風接近を迎えた、
庵近在に御座います。

幸い、接近初日の夜半に通り雨が在った程度で、
大事に至らずに済んで御座いました。

御来庵の皆様方の御住まいの地域では、
息災で御座いましたでしょうか。

扨て斯様な中に於いても、
草花と申しますのは、動ずる事無く
其の生命を謳歌してゐるので御座います。

此の、動じない、と云うのが、
時に依り、非常に大切な事なので御座いましょう。

併し、幾ら然様な事を申しましても、
某は、些細な事に一喜一憂する凡人に御座います。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.09










深山の険往く径の他に無し





仙山線 奥新川-作並
2016.6


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

彼の名車が荼毘に付されてから、間も無く一週間。
被写体が減りつゝ在る事に今更乍ら気づいて御座います。

此の山道の如く、か細き道では御座いますが、
写真機を手放したら、負けに御座います。
今は何も無くとも、進めば何かあろうかと存じます。

甲子園では、某の母校が押され気味に御座います。
西日本出身者も其れ也に在籍している筈では御座いますが、
流石に此の暑さに滅入っているので御座いましょう。

返す返すも、皆様方に於かれましては、御自愛頂きますよう。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.08










初夏の陽を浴びつゝ往く路とて独り





石巻線 曾波神-石巻
2016.7


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

梅雨の晴れ間と云うには、
余りにも強烈な日差しと相成りました、
愛宕山界隈に御座います。

角籠を駆る際は、写真機の事を考え、
普段より空調を入れているので御座いますが、
此の日は、其の事が仇と為りまして、

折角此処まで参じたにも拘らず、
角籠から一歩も出たくなかったのが
正直な処に御座います。

所定の時刻と相成り、
角籠から出た処までは良かったので御座いますが、
其処へ、大崎平野の全ての熱気を集めて来たが如き
ヂーゼル機関車が。

滴る汗に辟易し、
画角も十分に決めぬ儘では御座いましたが、

逆に、其れ迄の暑さなど吹き飛ばす光景に
相見うる事が出来たので御座います。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.06










陽炎をくゆらせ遙かなる旅路





東北本線 館腰
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

低射角で差し込んで来る、強烈極まりない西陽。
程無く、遍く凡てを炙り尽くすのでは──
とさえ思える、葉月の夕刻に御座います。

僅か一刻で十里を駆くる速さで疾走する籠の列ですら、
其の受くる風でも自らを冷やし切れず、
愈々汗をかき始める勢いにて、
陽炎を立ち昇らせてゐるので御座いました。

梅雨明け以降、尋常不成る酷暑が続いて御座います。
呉呉も、御自愛下さいますよう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.04










吹き流す雲も泪と喩う夏





東北本線 岩沼-槻木
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

ふきながす くももなみだと たとうなつ

涙雨、とは誠に佳き喩えかと存じます。

併し此の日の此の界隈は、
幸か不幸か、一滴の雨の降る事も無く、

吹き流したかの如き雲のみが、
込み上げるものを堪え切れぬ事を
物語ってゐるので御座いました。

もう二度と相見うる事の無い、
今夏の盛りの昼下がりの一献。

某に何が出来る訳でも無く、
唯々、彼の名車が自らの末期の地に向かうのを
見送るのみに御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.03










終の途見送る穂波の蒼さとて





東北本線 岩沼-槻木
2016.8.3


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

ついのみち みおくるほなみの あおさとて

最早、多くを語る事は相応しくないものと存じます。
国鉄特急型の原型が、日本から姿を消した昼下がり。

其の、当に末期を見送る稲穂の波の、未だ蒼き事に
動揺を隠せなかったので御座います。

幼少の砌より、公私共に時折お世話になった車。
半世紀の長きに亙り、誠に御苦労様に御座いました。

最後に、現場でご相伴に預りました皆様方に、
草庵からで恐縮に存じますが、衷心より御礼申し上げます。
此の時を共にさせて頂きました事、本日唯一の幸運に御座いました。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.02










暑気纏う雲の流れを刷毛で引き





石巻線 涌谷-前谷地
2016.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

気温も一進一退を繰り返しつゝ、
梅雨明けの声を待つ田圃の傍に御座います。

刷毛で引いた如き雲に御座いますが、其の見た目とは裏腹に、
着実に夏への階段を上る力強さを感じたので御座います。

其の力強さは、
徐々に近付来るヂーゼルヱンヂンの響きに引き継がれ、
其の重厚感とは裏腹に、足取りも軽く駆け抜けて参ります。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.01










鈍色を体躯に映し夏来る





東北本線 館腰-岩沼
2016.8.1


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

同好の諸先達方の一部の皆様の間では、
今日は“EF81の日”と呼ばれているそうで御座います。

僭越乍ら、某も便乗させて頂きたく、
此処に久方ぶりに、
生茶を煎じさせて頂く次第に御座います。

斯様な空模様とは云え、分厚い雲を貫いて余りある
紫外線の力をひしひしと感じる、
今朝の庵近在に御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。