2016.02.29










薄暮往く夜汽車十色の想い載せ





東北本線 岩沼-槻木
2016.1


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

先づは、此の場所をご教示頂いた“某・番長殿”と御一行に、
此の場からで恐縮至極に存じますが、
御礼を申し上げなくてはならぬかと存じます。

愉しい一時と良き場所を、誠に有難う御座いました。

因みに、大変恥ずかしい話に御座いますが、
地元に住んで居乍ら、此の地を知つたのは
此度が初めてだつた事を独白申し上げます。

麓に目を遣りますと、大分溶けたとは云え、
相応に雪を残した仙南の田園が広がつて御座います。

傾ぐ日を背に、空気が蒼さを増す時間帯は、
雪の屈折率と共鳴するかの如く、
まるで人々の心に入り込める程に
蒼さを深めてゐる様に御座います。

然様な空気に取り込まれまいと抗うべく、
田圃の中に躍り出た夜汽車が持つ
“明日への力”に縋るが如く、
レリーズを静かに落としたので御座います。

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2016.02.24










銀箱が行き交い立つ風襟を立て





東北本線 名取-館腰
2016.2


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

こヽ数年、
銀色では無い列車を見る機会がとんと減つた
庵の界隈に御座います。

一昔も前の列車が巻立てる風は、
寒さ厳しき折でも何処かしら
温かみが在つたかと存じますが、

平成に移り変わつて暫くも経ちますと、
下野にも劣らぬ空つ風が
尚更に身に染みる線路端に御座います。


2016.02.19










枯れ薄揺らす風駆る籠の列





東北本線 名取-館腰
2016.2


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

庵の近在、徒歩十分の処に居ると云うのに、
何やら遠くへ旅をしてゐる感覚に襲われし、
不思議な時間帯にて、

植物で在る処の“すすき”と、
訓読みの“うす(い)”は、全く同じ漢字表記だが、
此の“薄暮”の時間と何か関係が在るのだろうか、

然様につまらぬ仮説を立てる程に
長寛な一日が終わろうとして御座います。

そして、籠の列が残して行つた風は、
何時もの其れよりも、心成しか冷とう御座いました。

2016.02.15










Condominium Threnody





東北本線 名取-館腰
2016.2


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

利便に富んだ此の地に庵を移して
間も無く一年が経とうとして居ります。

此度の一献は、
Condominium Threnody≒集合住宅挽歌
などとと謳うては見たものの、
斯く云う拙庵も集合住宅に御座いまして。

五分も歩けば辿り着く便利商店、
十分も待てば来る列車。
逆に、待つて貰える事も無く過ぎ去る日々──

時の移ろいの迅さが
年々増して居る様に感ぜらるゝ
此の頃に御座います。

2016.02.13










身を潜し亜炭の残り香探る山





仙台市地下鉄東西線 青葉山-八木山動物公園
2016.1


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

「八木山」と呼ばるヽ一帯は、
仙台市太白区に中部に広がる丘陵地帯に御座います。

其の昔は、此の丘陵一帯に亜炭の鉱脈が在った事から、
相当な長さの坑(あなぐら)が掘られたそうに御座います。

此処で僭越乍ら、鉄道の専門用語を少々。

電気鉄道に於いては、電気車両に電源を供給する為、
通常、線路上空二間半程の高さに
電車線(架線)が張られて御座います。

其の電車線を鋼棒に置き換え、隧道躯体に直接、
機械的に結合する方式を剛体架線と申しまして、
地下鉄道等に良く用いらるヽ物に御座います。

現代に蘇りしこの坑、
隧道断面を極力小さくする為、
剛体架線の低さが際立って御座います。
其の高さ、目測で恐らく二間も無いかと存じます。

嘗て日本中に存在した鉱山鉄道の趣を
色濃く醸して居るが如くに見えるのは…

…恐らく、鉄道に対し相当に偏重した趣味的視点を持つ、
庵主だけに御座いましょう。


2016.02.08










蒼白で満つる空気を揺蕩うて





東北本線 岩沼-槻木
2016.1


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

雑務が重なり、忙殺されて居りまして、
囲炉裏に灯を入れるのが些か久方ぶりになつた事、
ご容赦頂きたく存じます。

そうはくで みつるくうきを たゆとうて

夕暮れの青白き大気は、
宛(さなが)らヱーテルで満たされた
仙台平野と云う巨大なビーカーの中を
眺めてゐるような錯覚を起こすので御座います。

そして、ビーカーの底を、
一筋の貨物列車が、
其の身の廻りを満たすヱーテルを掻き分けるが如く
徐(おもむろ)に進み往くので御座います。