2015.07.29










夜を徹し往く道支度念を入れ





津軽線 青森
2015.7


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本日も、暑さ厳しき折、
拙庵にお立ち寄り頂き、誠に有難う存じます。

老兵、互いに手を携え、
漆黒の闇夜に紛れる海底の路を日々往来する、
急行列車「はまなす」。

孤高の急行列車は、
数え切れぬ生傷を抱えつゝ、
今宵も三番線にて、出立を待ちます。

そして、其れを日々懸命に支え続けた、
掛員の皆様方が流した汗。

機関車と客車の隙間には、
互いに刻んで参った、
時間と申しましょうか、年輪の様なものが
溢れんばかりに凝縮されている様に存じます。

そして、一宿を求むる旅人には、
然様な素振りは微塵も見せないので御座います。


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2015.07.25










一宿を求む心の蒼さとて





津軽線 青森
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

今宵も、「急行はまなす」に纏わる一献に
ご相伴を賜りとう存じます。

今宵の青森駅は、
文月だと云うのに、肌寒う御座います。

到着した急行列車の屋根越しに、
駅傍に聳える塔が青白き煙を纏い、
尚一層の寒さを誘うので御座います。

其処で、一宿を列車に求むる旅人は、
室内燈の暖かさに吸い込まるゝように、
ゆっくりと車中の人と成るので御座います。

ステップを踏む足取りは、
まるでプラットフォームに
何か大切なものを置いて行くが如く、
静かなものだったので御座います。

2015.07.22










夜更かしも良いねと小躍り汽車を待つ





奥羽本線 青森
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

本音を申しますれば、
「東北本線 青森」と記すべきなので御座いましょうが、
聞き慣れない民鉄の名を駅名に冠する気には
中々為れないので御座います。

最早、本州最北の一大中継駅ではなく、
一中間駅となろうとしている当駅が、
青函連絡の重責を担った名残を唯一今に留めるのが、
「急行 はまなす」の列車案内表示かと存じます。

其の下を、一組の親子が通り過ぎて参ります。
今宵のお宿は、何号車で御座いましょうか。

普段は「早く寝なさい」と急き立てられるご子息、
今宵こそは公に夜更かしが認められるとあり、
お目当ての“乗車位置札”の下へと、
さぞ意気揚々と歩を進めているので御座いましょう。

日本最後の夜行急行列車は、
斯様な「非日常」を日常とし、
幾星霜を刻んで参ったので御座います。

2015.07.21










Junction in the Rain





津軽線 大平-中小国
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

誠に恐縮至極に存じますが、
文字通りの五月晴れより一転、
雨に煙る一献に御相伴を賜りとう存じます。

酷暑の様相を呈しつゝあった庵を抜け出し、
角籠を二刻半(大凡五時間)ほど駆りまして、
津軽半島のほぼ中心に馳せ参じ候。

弾丸行脚の手始めは、
そぼ降る雨が尚一層の肌寒さを誘う
大平駅近傍からに御座います。

当日は、台風崩れの低気圧の
鄭重なお出迎えを頂戴し、
何と摂氏十九度の中の到着と
相成りまして御座います。

移動電話付属の写真機による一献にて
恐縮至極に存じますが、

津軽線・海峡線・北海道新幹線が
様々な意味合いで“混在”する現在を
記録する事が出来ましたので、
良き事と致しとう存じます。

矢張り、新幹線と在来線は、
物理的・技術的に如何に交わらせようとも、
真の意味では交わり得ぬものであると
感じた次第に御座います。

2015.07.15










水牛の朱の市中を歩み来る





石巻臨港線 陸前山下-石巻港
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

文字通りの皐月晴れを堪能した黄金週間、
初日の八つ時は石巻市内の住宅街の真ん中にて
彼の五軸機を迎える事に致し候。

予約した温泉宿の夕食の時間を気にしつつ、
所定の時刻を迎えたので御座いますが、
一向に警報機が鳴る気配が御座いません。

影の伸び具合も気になり始めた頃、
漸く鳴り出した警報機に応じるが如く体制を整えるや否や、

家屋が密集した裏路地に比して
圧倒的な質量を以て、朱(あか)き水牛が、
踏切の脇に佇む庵主を気にする風でも無く悠然と、
当に牛歩の歩みで過ぎ去ったので御座います。

2015.07.12
















仙台空港線 仙台空港-美田園
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

入梅はしたものの、前線は何処へ。
昨夜の焼酎が些か残る頭の上は、
青く高く抜ける青空に御座います。

暑いのが苦手な庵主では御座いますが、
願わくば此の儘、明けて頂きたく存じます。

2015.07.09










明け切らぬ朝に靄連れ径(みち)下る





東北本線 越河-白石
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

日付が変わって六時間ほど経とうと云うのに、
未明と呼んで差し障り無き程の外の明るさに御座います。

息を吸っているのか、水を吸っているのか
判然としなくなる空模様に狼狽し、
大変に半端な一献となりました事、
恐縮至極に存じます。

2015.07.05










野も山も噎(むせ)ぶ吐息の隠しける





東北本線 槻木-岩沼
2015.7


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の時期の大地の吐息は、
実に湿気っぽく、若干冷気を含んだものに御座います。

斯様な吐息が画角全体を支配した事に、
逆に庵主は一瞬息を「呑まされて」しまうほど、
濃密な灰色で御座いました。

何しろ、其処に在る筈の蔵王の山々はおろか、
至近に立ち並ぶ高層住宅や家々でさえ、
覆い隠してしまうぐらいで御座いましたから。

彼の踏切・彼の曲線で御相伴を頂戴した、
T木の巨匠殿、KE70殿、
早朝からお世話になり、誠に有難う存じました。

2015.07.01










空へ舞う明日が背を推し進む径





石巻臨港線 石巻港-陸前山下
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

孤軍奮闘、と云ゝつつも、
いまだ多数の同僚が健在である事は、
色々な意味で喜ばしい事と存じます。

次代に鉄路が伸び行く事を望みつつ、
後継者が現れる其の日まで。