2015.05.27










箱庭や冴える緑の目に沁むる





東北本線 槻木-岩沼
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

藍い空、空を映す水田、青々と茂る小高い丘、
そして其処へ一点を添える鳥居。

此処の如く、
そう広い訳でも無い視界に
凡ての要素が収まる場所は
そうそう無いように存じます。

拙庵より角籠で四半刻余の処にある、
原寸大の箱庭に御座います。

さて、刻は来たれり。
尚目映い一陣の風を伴いまして、
箱庭の表舞台を、
千両役者が駆け抜けて御座います。

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2015.05.23










Reborn to the Our Future





石巻線 浦宿-女川
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

石巻線の国鉄型気動車も
いよいよ来週一杯との話を、
風の便りで伺いまして御座います。

物理的な街の再生を担う、
油圧掬土機が見守る中、
震災以前より此の町に慣れ親しんできた彼(か)の車が、
再興を期す港町の終着駅に
滑り込んで参りました。

終着駅は始発駅、と申します。

街の完成を見ずに去る彼の車はむしろ、
其の未来を穏やかに祝しているかの如く御座います。

2015.05.20










蒲公英や 役目追われし 最古参





石巻線 前谷地-涌谷
2015.5



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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

過ぎ去りし春の代名詞である事を未だ誇るが如く、
数輪の蒲公英が鮮やかな色を示して御座います。

その後ろをのしのしと歩み往くキハ40(48)形もまた、
蒲公英と「同類相哀れむ」…

…否、哀れむとまでは行かぬものの、
残り二週間ほどの余生を、
淡々と過ごして参る所存のように御座います。

2015.05.17










月光に注ぐ朝陽の凛として





東北本線 名取-館腰
2015.5.17


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

拙庵より五分ほど東へ向かいますと、
植松境踏切が御座います。

庵主が此の踏切に佇んでおりましたのは、
明け方の冷気と、昼間の熱気が交わる、
不思議な時間だった訳で御座います。

都会の片隅で、
斯様な時間を独り占めする優越感に浸っておりますと、
独特な色合いを持つ熱線吸収窓を連ねた大柄な車体が
ゆったりと通り過ぎていったので御座います。

そしてその窓に引かれたカーテン、
その向こうの乗客もまた、
ある種の疑う余地の無い優越感に
浸っている事で御座いましょう。

2015.05.15










遥かなる旅路碧空貫けり





石巻線 涌谷-前谷地
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

少々早めでは御座いましょうが、
既に初夏の趣に御座います。

軌間二呎六吋由来の路盤は、
直線的、かつ隧道を極力避けて敷設されている事等が
その特徴として挙げらるゝ事は、
さる書物に拠りて存じて御座います。

而して此の一献を煎じた場所は、
直線的な路盤でありながら隧道が設えられると云う、
上述の由来とは相反する要素を有する光景にして、
当路随一の景観かと存じます。

限りなく高く抜ける碧空のもと、
僅かな土の薫りと、既に暑さすら含んだ風と伴に、
何処の地より葡萄色の籠を連ね、
ゆるりゆるりと進み来たる其の頭上には、
一筋の飛行機雲が高き空の尚高きを、
真一文字に貫いて行くので御座いました。

2015.05.10










怪力漢にそっと添ゆる薄墨





東北本線 船岡-大河原
2015.4


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

本日の一献は、
例年になく早足で過ぎ去りし桜前線を、
ささやかながら惜しんで参りたいと存じます。

今年に入りまして、
台風が既に八つ発生しているそうに御座います。
桜の早さも、異常な暖かさも、
此の麗らかな陽気とは裏腹な何かを
考えずには居られない今日この頃に御座います。

2015.05.06










鉄塊の隅に間借りし鉄の馬





石巻貨物線 石巻港-陸前山下
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

港町にある、製紙大手の大工場。
その高炉、配管の一つ一つが、
押し寄せんばかりの鉄の塊となり、
ジーゼル車に覆い被さってくるが如く
威容を誇って御座います。

未曾有の災禍を乗り越え、
逸早く操業を再開した、
製紙工場と貨物線。

此の一献の如き絶妙な関係が、
逞しい生命力の根拠ではないかと、
庵主なりに解釈したので御座います。

2015.05.05










菜の花の 上に籠揺れ 東山道





東北本線 館腰-岩沼
2015.5


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

すっかり春めいて、と申しますか、
すっかり初夏めいて参りました今日この頃、
御来庵の皆様方の中には、
既に夏バテされてる方も居られるのではないかと存じます。

庵主も此の所、体調を崩し気味で御座いまして、
ロキソ○ンを大量に処方されたところで御座います。

此方も此の所、
すっかり東北の顔となった感のある、
件の銀籠に御座います。

同じく、初夏の陽を浴びて燦然と輝きを放つ客籠を連ね、
仙台平野を一路南下して参ります。

東山道(とうざんどう)とは、
東北地方を縦断する幹線道路の、
奈良時代の呼び名で御座います。

鉄道と云う仕組みそのものが無かった時代の空気は、
近未来的な車両にも受け継がれていくので御座いましょうか。

浮世より半歩遅れて我が世を謳歌する菜の花が、
半ば問答無用で、垢抜けた車体に浅黄を挿してゆくので御座います。