2015.04.29










春霞 集めて遠し 追波(おっぱ)川





石巻線 佳景山-曽波神
2015.4


***************

御来庵頂き、誠に有難う存じます。

春、と云うよりは、
初夏、と呼ぶに相応しい気候に御座います。
御来庵の皆様方に於かれましては、
この天気の変わりようにも関わらず
息災であります事お察し申し上げます。

同時に、空気も乾いているように御座います。
何処からとも無く巻き上げられたであろう砂煙…?
此れが世に云う「春霞」で御座いましょうか。

遠くに横たわります山体は、
上品山(じょうぼんざん)と云う里山だそうで御座います。
標高は466米、石巻市営上品山牧場などが所在するとの事。
どっしりとした風格の在る山に御座います。

追波川は、上品山の北側を、太平洋に流れ出る、
北上川下流域を指す通称に御座います。
伊達政宗の代に、大掛かりな河川改修を受けたそうで、
半人工の河川としては相当に大規模ではないかと
存じております。

さて、斯様な上品山の裾に、春霞が棚引く頃合に、
相対する丘の上から庵主が眺め降ろしますのは、

古式ゆかしいジーゼル車が、数多の籠を従えて、
水田の合間に何処までも伸びる鉄(くろがね)の畦道を
ゆっくりゆっくり、港町へ向けて進み行く様子に御座いました。

スポンサーサイト
2015.04.19










泡沫(うたかた)の 紅添ゆる裾 軽やかに





東北本線 船岡-大河原
2015.4


***************

御来庵頂き、誠に有難う存じます。

事有る毎に口を衝いて出てしまう科白にて恐縮に存じますが、
何ともまあ味気の無い銀箱ばかりが駆け巡るように
なってしまったので御座いましょう。

嘆いてばかりいても仕方の無い事に御座いますので、
此処は一つ、其の殺風景なカンバスに、
薄墨を差してみる事に致しましょう。

そうしましたら如何でしょう、
存外に傾ぐ陽の暖かい色が、
庵主と線路の間を満たしているでは御座いませんか。

此の刻(とき)の、斯様なまでに儚き事。
うたかたの内に、今日も過ぎ去って行くものかと存じます。

2015.04.13










傾(かし)ぐ陽の 路へ薄墨 傾(なだ)れ落つ





東北本線 大河原-船岡
2015.4


***************


御来庵頂き、誠に有難う存じます。

「傾」と云う字は、
どうも不遇を託った印象が拭えぬきらいが
在る様に御座います。

しかしどうして、古文書を開きますと、
「粋」或いは「avantgarde」を指す言葉として
用いられている事が多いように存じます。

鉄路に覆い被さるが如く咲き乱るゝ薄墨の花弁が
傾ぐ陽に映える頃、
平素より何食わぬ顔の銀箱にも、
傾奇者の装いを纏う一瞬が生まるゝので御座いましょう。