2017.05.26










機関車の
屋根も背後も
焔立つ






石巻線 前谷地-涌谷
2017.5


***************

本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の日は、季節外れの炎天下と申しても
差し支え無い程の日差しが照り付け、
例年より早く汗だくになって御座いました。

機関車の屋根から吹き出さるゝ排気瓦斯と共に、
辺りを満たす大気ですら既に、
背後の森の姿を歪める程に熱せられて居るが如く
御座います。

斯様な時、鉄瓶の扱いが
何年経っても不慣れである事を
身に積まさるゝので御座います。

併し、此の“絞り過ぎ”の状態が逆に、
照り付ける日差しの強さを表現してゐるのではないかと、
庵で独り、密かにほくそ笑むので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

スポンサーサイト
2017.05.24










山裾に
水も温(ぬく)まる
田の碧さ






石巻線 石巻-曾波神
2017.5


***************

本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

照り付ける太陽が、当に
午前中の盛りと云うに相応しい程の
力強さを発揮する、石巻の町外れに御座います。

曾波神の駅裏の水田は、つい先日、
田植えを終えたばかりなので御座いましょう、
苗の青さも目に眩しく映るので御座います。

背後に聳える愛宕山の姿を
そっくりそのまゝ逆様に映し出す
水田の様を眺めて御座いますと、

水鏡の右端に、一陣の貨物列車が、
矢張りそっくりそのまゝ、
逆さに映し出されたので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.23










茅葺の
軒先掠め
朝(あした)来る






石巻線 涌谷-前谷地
2017.5


***************

本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

宮城県随一の穀倉地帯を貫く石巻線。
其の沿線の中でも、一際目を惹くのは、
此方の茅葺屋根かと存じます。

古くからの農家、或いは、
一帯の庄屋様に御座いましょうか。

何れにせよ、長年に亙り
丁寧な手入れが為されて来た邸宅であろう事は
容易に拝察出来る事と存じます。

そして何より、
斯様な空の下も、風雨雪霜の候に在っても、
傍らを貫く鉄路を往き来する列車と共に歩み来たる佇まいが、
東北に生きてゐる事の安堵感を与うるので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.22










Misty





石巻線 涌谷-前谷地
2017.5


***************

本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

江合川から立ち昇る川霧が、
咽(むせ)ぶ程の濃密さを以て、
大崎平野東端に立ち込めて御座います。

軈て陽が昇り、其の光が力強さを増して参りますと、
霧の向こうは青空である事を、
辛うじて感ずる事が出来るので御座いますが、

相変わらず、
太陽の位置を窺い知るまでには至らぬ程の
水蒸気の密度に御座います。

更に四半刻も経ちますと、
徐々に、霧に濃淡が出て参りまして、
幽かに線路の位置が分かるようになって参りました。

当に其の時、一本の貨物列車が、
音も無く足許を通り過ぎようとして御座います。

鳥谷坂の尾根に伸びる枝振りの見事さに
夢中になってゐた事も相俟って、
列車の姿を画角に認むる迄には
些かの時間を要したので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.05.12










浮雲に
空の高さを
知る皐月






石巻線 前谷地-涌谷
2017.5


***************

本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

是が、雲一つ無い澄んだ青空だと致しますと、
斯様に直線的な一句を捻る事が出来ず、
個人的には、甚く頭を悩ます事に成るので御座います。

此方の一献に写るのは、巻雲ないし巻層雲かと存じますが、
大凡、地上より二里~三里程の高さだそうで御座います。

…其れでも、十分に高う御座います。

そして此の空は、
雲の向こうに宇宙を見透かしてゐる訳で御座いますが、
比して、人類の営みの尺度のささやかさを
垣間見るので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。