2017.04.25










眺むるは
末期に添ゆる
残り雪






奥羽本線 白沢-陣場
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

お陰様を持ちまして、多忙を極め、
涙が出る日々を送って御座います。

何処からか風邪まで貰って来てしまい、
頭を徒然に揺すられつゝの日々に御座いますが、
御来庵の皆様方に於かれましては、
息災で御座いましょうか。

さて、此の一献を持ちまして、愈々当に、
庵主と此の大女優の邂逅は終焉を迎うる事と
相成りまして御座います。

庵主の人生に於いて、
最初で最後と成るであろう此の場所で、
谷間に谺する電動機と警笛の音に耳を傾けつゝ
其の時を迎えた体験と記憶は、

恐らく、墓場まで大切に持って行く
事に相成るので御座います。

此の上無く愉しく、また千載一遇の機会を与えて下さいました、
某・手抜き王殿、修行僧殿、雨宮殿、Fファッツ殿、油屋殿、
御相伴は叶いませんでしたが某・逆光番長殿、
現場から夜会に至るまで御相伴・御指南を頂戴した皆様、
そして某・U鉄殿に、心より御礼を申し上げる次第に御座います。

日々無くなり行く列車、また新たに登壇する列車。
今後とも、其れらの日常を切り取る一方、
新たな主題を見つけ、庵事の合間を縫い、
多くの皆様方の御指導、御鞭撻を賜りつゝ、
馳せ参じる所存に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

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2017.04.22










「先輩…今まで言いづらかったんスけど…」
「どうしたの改まって」
「今まで、待避線に行っとけだとか、スジ譲れだとか、
 散々生意気言ってスンマセンした」
「そんな事、別に気にしてないわよ、逆にその若さが羨ましかったわ」
「いやー…」
「それよりあんた、潮風とか大丈夫なの?
 時々高波も被る職場なんだろうから、ちゃんとこまめに診てもらうのよ、
 私みたいになってからじゃ遅いのよ」
「…先輩!」
「何よ、急に大きい声なんか出して」
「…いやその…相変わらずの人気っすね…」
「ふふん、何言い出すかと思ったら…この世界じゃ、年増の方がモテんのよ」
「ええ?」
「それと、おだてたって何も出て来ゃしないわよ、
 碍子の1本に至るまで、共通部品なんか1つも無いんだから」
「はぁ…それよりっすね」
「何なの今日は?いつもより顔が赤いわよ?」
「──今まで、有難うございました!」
「はいはい、あんたは先が長いんだから、頑張って稼ぎな」


……




奥羽本線 秋田
2017.4


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…などと云う遣り取りがあったか否かは存じませんが、
斯様な光景に見えたので御座いました。

昨日今日と、拙い小芝居に御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.04.21










「先輩…ホントに今日で引退なんですね…」
「そうよ、あなた達にも色々とお世話になったわね」
「そんな事ありません、それに、ただ速いだけの私たちと違って─…」
「どうしたの?何も泣く事じゃないわよね?」
「…だって先輩は、お客様が寝ている間に目的地まで送り届ける事が出来るじゃないですか」
「やあねえ、私なんてもう、ただ図体がデカくて鈍足なおばちゃんよ」
「私だって、客室にベッドを積んで走ってみたかった!」
「あなたたちはまだ若いわ、これからそんなチャンスが無いとも限らないじゃない」
……




奥羽本線 秋田
2017.4


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…などと云う遣り取りがあったか否かは存じませんが、
斯様な光景に見えたので御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.04.15










線路際
見送る人の徒然に
想い馳せたる
土の温もり






奥羽本線 陣場-白沢
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

田に積もった土もすっかり融け、
人や車の踏み後から外れた場所には
蕗の薹が顔を覘かせる様になった秋北に御座います。

息も絶え絶え、張るだけ張った両脚に鞭を入れつゝ
登った先からの眺めには、

鈴生りのお客様を載せ、最後の力走を魅せる
583の姿を間近で見送らんとする人々の姿が御座いました。

銘々の想いを携え、或る方はレリヰズを切り、
亦或る方は手を振り、其れも車窓からも地上からも...

何より、
柔き陽光に照らされた土が仄かに放つ温もりと薫りこそ、
彼女にとりましては、心地良いお見送りでは無かったかと
推察するので御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2017.04.14










山上の
御仏拝む
終の路






奥羽本線 大鰐温泉-石川
2017.4


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

嘗て、南部藩の武将、
石川高信が津軽統治の拠点としてゐたと云われる、
大仏ヶ鼻城跡。

能く眺望の利く小高い丘に築かれた此の城の跡が、
津軽為信により陥落されてから丁度五百年を経た今日では、
弘前市民の憩いの場として利用されてゐる訳で御座います。

此の丘の中腹には、曹洞宗の寺院が御座いますが、
公園の名の由来である“大仏”との明確な関係性は
調べが付かずに御座います。

室町期に此の地域に勢力を張った武将の
菩提寺であったと云わるゝ事から、
大仏ヶ鼻城に於ける攻防に纏わる因縁も
少なからず在るものと推察する処に御座います。

此の御寺の境内には、
大仏ケ鼻城陥落に武功のあった兵部が寄進したとさるゝ
十一面観世音菩薩像が安置され、
大仏公園を舞台にした歴史の一幕に
思いを馳する事が出来るものと存じます。

当時より五百年を経た今、
此の一献に写りし路を幾度と無く
馳せ参じた583系電車も
陥落の時を迎えた訳で御座いますが、

是まで此の列車が歩み来た旅路と行く末は、
此方の観音様もずっと穏やかに
見守って行かるゝ事に御座いましょう。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。