2017.01.17










海辺舞う
雁を追い駆け
涼求む






東北本線 野内-浅虫温泉
1999年頃


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

此の日の夏泊半島の付け根、及び其の界隈は、
大変に暑かった記憶が御座います。

其の暑さも忘るゝ程に、終焉迫る在来線特急を追い、
線路際を駆け廻る事に熱中してゐた、
一昔と少し前の庵主に御座いました。

季節を問わず、かつ勉学を顧みず、
二夜三夜の車中泊は当たり前。
今思えば、体力も有り余ってゐたので御座いましょう。
と同時に、相当な贅沢をさせて頂いた時期でも御座いました。

此の一献に写された列車は、
登場から間も無い時期であったと記憶して御座いますが、
昨年の早春、既に引退を迎えて御座います。

此の時駆ってゐた、云わば「超機動式庵」も既に絶版と相成り、
段和籠から角籠へと、移動庵も移り変わり、
庵主は所帯を持ち、新しい家族も徐々に現実味を帯び、
時の移ろいの速さに狼狽を隠せぬ年齢と相成りまして御座います。

此の時記録しておいて良かった、
と思える一献が幾つか手元に有る事に一抹の安堵感を得つゝ、
労働と家事、そして少々の音楽に精進する日々に御座います。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

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2016.12.30










四つ目の照らす径





東北本線 青森県内
1999年頃


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本日も、御来庵頂き、誠に有難う存じます。

点てた年は明確に覚えて御座いませんが、
光画紙を電子化した一献に御座います故、
茶葉の質は、何時も乍ら、ご容赦賜りとう存じます。

四燈の前照燈はおろか、此の塗色自体、
既に見る事が出来無く為って久しく御座います。

当時、東北新幹線八戸開業を控え、足繫く通った此の区間で、
今にして思えば贅沢なのでは御座いましょうが、
見飽きる程に485系や583系を眺めたもので御座います。

一時間おきぐらいにやって来る列車を待つ間に間に、
当時乗ってゐた、初代移動式庵(既に崩壊寸前)
の開け放った窓を吹き抜ける風の匂いだけは、
今でも鮮烈に印象に残ってゐるので御座います。

嘗て国鉄型特急が闊歩した此の大街道は、
平成の世に在って、最期まで由緒正しき昭和の様式を堅持してゐた、
稀有な路線であったかと存じます。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.09.21










緑燈の
示す往く手の
涙雨






東北本線 岩沼
2016.5


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

私事にて恐縮に存じますが、
庵や庵族を第一に、野点に出る機会を減らして御座いました。

其処で本日は、去る葉月に辞世した、
国鉄型特急の一献に御相伴を賜りとう存じます。

斯様な一献も、庵主次の世代を迎うる前に
“懐かしい光景”と称されるかと存じますが、
其の時の事を想いますと、些か遠い目に為ってしまうのも
正直な処に御座います。

至極、主観の塊にて些か恐縮に存じますが、
其の塊を、此の春雨に散らす事に致しとう存じます。

暑い日も散在した今年の黄金週間の中で、
肌寒さを覚えた日でも御座いました。

公器たる“鉄道”を、巨大な民間企業が運営する。
その先に待つ様々な事象を、
今後も一献を通して見詰めて行けたらと存じます。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。


2016.08.04










吹き流す雲も泪と喩う夏





東北本線 岩沼-槻木
2016.8


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御来庵頂き、誠に有難う存じます。

ふきながす くももなみだと たとうなつ

涙雨、とは誠に佳き喩えかと存じます。

併し此の日の此の界隈は、
幸か不幸か、一滴の雨の降る事も無く、

吹き流したかの如き雲のみが、
込み上げるものを堪え切れぬ事を
物語ってゐるので御座いました。

もう二度と相見うる事の無い、
今夏の盛りの昼下がりの一献。

某に何が出来る訳でも無く、
唯々、彼の名車が自らの末期の地に向かうのを
見送るのみに御座いました。

御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。

2016.08.03










終の途見送る穂波の蒼さとて





東北本線 岩沼-槻木
2016.8.3


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本日も、御来庵賜り、誠に有難う存じます。

ついのみち みおくるほなみの あおさとて

最早、多くを語る事は相応しくないものと存じます。
国鉄特急型の原型が、日本から姿を消した昼下がり。

其の、当に末期を見送る稲穂の波の、未だ蒼き事に
動揺を隠せなかったので御座います。

幼少の砌より、公私共に時折お世話になった車。
半世紀の長きに亙り、誠に御苦労様に御座いました。

最後に、現場でご相伴に預りました皆様方に、
草庵からで恐縮に存じますが、衷心より御礼申し上げます。
此の時を共にさせて頂きました事、本日唯一の幸運に御座いました。

本日も、御相伴賜り、誠に有難う存じました。
又の御来庵を、心よりお待ち申し上げて居ります。